サーキット写真

富士スピードウェイ

2021年 11月27日(土) ~ 28(日)

参加者

  • 藤井 誠人埼玉日産自動車株式会社
  • 兼平 一志日産プリンス埼玉販売株式会社
  • 高橋 英臣神奈川日産自動車株式会社
  • 竹田 祥希日産プリンス神奈川販売株式会社
  • 北川 紘岐阜日産自動車株式会社
  • 浅野 剛志浜松日産自動車株式会社
  • 三浦 直樹愛知日産自動車株式会社
  • 澤村 謙一郎日産プリンス名古屋販売株式会社
レース写真レース写真

予選

天気:晴れ 気温:10度 路面状況:ドライ

今シーズンの締めくくりとなるSUPER GT第8戦が、第2戦以来シーズン2度目の静岡県、富士スピードウェイで開催された。第8戦はこれまで課されていたサクセスウェイトが無くなり、全車両がマシンを最大限に発揮できる状態となる。ポイントランキングをトップと6ポイント差の2位とした56号車は、逆転2連覇を目指し最終戦に挑む。
これまで多くのテクニカルスタッフが参加した2021年の日産メカニックチャレンジ。今回は全国の販売会社から8名のテクニカルスタッフが参戦し、チームスタッフと共にレースに備えて準備を進めてきた。
11月27日土曜日、サーキットは朝から晴天となった。公式予選Q1、56号車には藤波選手がマシンに乗り込み、予選Q1通過条件の8位以内を目指す。タイヤに充分に熱を入れた後、4周目からアタックを開始。1分35秒917の好タイムをマークし、その翌周には1分35秒809よベストタイムを更新。その後もアタックラップを続けるが更新はならず、8位から約0.2秒差で惜しくも予選Q2へ駒を進めることは叶わなかった。予選17位と苦しい状況に追い込まれたが、逆転でのタイトル獲得のチャンスを目指し、明日の決勝レースへ挑むこととなった。

レース写真レース写真

決勝

天気:晴れ 気温:13度 路面状況:ドライ

11月28日日曜日は、前日に続き朝から晴天に恵まれた。ピットビル3階には「日産メカニックチャレンジ」のゲストエリアが設けられ、総勢250名を超える大応援団が56号車の2連覇を掛けた決勝レースに熱烈な応援を送ろうと足を運んだ。
午後、前日よりも少し暖かいコンディションの中、 フォーメーションラップを経て300Kmにおよぶ決勝レースがスタート。17位スタートの56号車は、藤波選手がスタートドライバーを担当。オープニングラップから果敢な走りを披露し、3周目に11位、5周目に10位と次々にポジションを上げていく。
23周目にルーティンワークのため、ピットイン。メカニック陣による完璧なピット作業により、オリベイラ選手が乗り込んだマシンはいち早くコースへと戻っていく。ロングスティントを任されたオリベイラ選手は、ベテランらしい安定感のある攻めの走りを披露し、41周目には1分37秒210のベストタイムをマーク。
レース終盤にかけてライバル勢がアクシデントやマシントラブルに苦しむ中、56号車は順調に走り続け、ついに5位にまで浮上。さらなるポジションアップを狙う熱い走りを最後まで披露し続け、最終的にスタートからなんと12ポジションアップの5位でチェッカー。シリーズ2連覇は逃すこととなったが、チームワークで全力を出し切った56号車はシリーズ2位でシーズンを締めくくった。

藤波選手のコメント

藤波選手のコメント

今年は昨年以上に取りこぼしてしまうレースがありましたが、その中でも最終戦まで チャンピオン争いができたというのは、自分たちにとっても成長ができた部分があったな と思います。
2年連続のチャンピオンは逃しましたが、ランキング2位で終えられたということで、この2年を振り返ると、どのチームよりも安定感はあると思っています。
悔しい思いはありますけど、後悔はないです。
改めて、今シーズン応援いただいたスポンサーの皆様に、心より感謝を申し上げます。
僕のことを応援してくださる方が、昨年以上に増え、非常に嬉しかったです。
2連覇は達成できませんでしたが、今年はGT-RがBoPで厳しいところがありながらも、チャンピオン争いに最後まで残れたというのは、ひとつの自信になりました。
2022年はどんな体制で参戦することになるか分かりませんが、引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

KONDOレーシングスタッフのコメント

KONDOレーシングスタッフのコメント

藤波選手とJP選手は嬉しそうでしたが、やはり少し残念そうでした。
ただ、2位という成績は素晴らしいですし、レース内容は良かったです。
レースメカもシリーズタイトルを獲ることを狙っていたので、非常に悔しそうでしたが
これが来年につながると思いますし、来年もトップを目指していけたらと思います。

整備士インタビュー

  • 藤井 誠人

    藤井 誠人

    埼玉日産自動車株式会社

  • 兼平 一志

    兼平 一志

    日産プリンス埼玉販売株式会社

  • 高橋 英臣

    高橋 英臣

    神奈川日産自動車株式会社

  • 竹田 祥希

    竹田 祥希

    日産プリンス神奈川販売株式会社

  • 北川 紘

    北川 紘

    岐阜日産自動車株式会社

  • 浅野 剛志

    浅野 剛志

    浜松日産自動車株式会社

  • 三浦 直樹

    三浦 直樹

    愛知日産自動車株式会社

  • 澤村 謙一郎

    澤村 謙一郎

    日産プリンス名古屋販売株式会社

埼玉日産自動車株式会社

藤井 誠人

Round.8
2021年 11月27日(土) ~ 28(日)
富士スピードウェイ

藤井 誠人

この経験すべてを活かしていきたい。

これほど間近にGTマシンを見たのも、触れたのも初めての経験で、胸が高鳴りすべてが新鮮だった。アンダーフロアパネルの取り付けひとつとっても、一般車両とはその役割は違う。空力的要素が大きく、段差のないフラット状態を作るために0.1mmにこだわる調整。その出来映えは、芸術的な美しさだった。
サーキットに到着すると、まずやることはピットの設営。驚いたことにすべてチーム自身で行う。ファクトリーで何度も調整したアライメントは、実際にサーキットへ着いてからもしつこく確認・調整を繰り返す。0.1mmの重要性、アライメント調整の奥深さを実感した場面だ。そのシビアさ、極限まで突き詰める熱意には凄みさえ感じた。走行直前までアライメント測定やタイヤ管理は時間の許す限り続き、完璧に仕上げて送り出す。レースメカニックのスピードや正確性はもちろん、このような妥協しない姿勢こそ学ぶべきことだと強く思った。
走行前のあわただしい緊張感漂うピット内での作業、用意周到な準備作業、ここで経験したすべてをこれからの自分の中で活かしていきたい。私にとって本当に濃密な体験だった。

藤井 誠人
藤井 誠人

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日産プリンス埼玉販売株式会社

兼平 一志

Round.8
2021年 11月27日(土) ~ 28(日)
富士スピードウェイ

兼平 一志

感動のレースメカニック体験。

以前からスーパーGTのファンで、この日産メカニックチャレンジに参加できることになって本当にうれしかった。プロジェクトの内容はかなり実戦的なメカニック体験で、レースに参加しているんだ、という実感が日毎に高まっていった。
ファクトリーでの事前整備では、アライメント調整のシビアさが印象に残った。ターゲットとする値を出すために、シムの厚さを変えて何度も入れ直して調整を続けた。このプロジェクトで自分たちが整備するリアライズ 日産自動車大学校 GT-R 56号車は、シリーズランキング2位につけていて、年間優勝のチャンスが充分にあった。事前整備でセッティングがやっと決まった時、この調整がシリーズチャンピオンに繋がるといいな、と思った。
富士スピードウェイに移動してからは、タイヤ管理の徹底ぶりに驚いた。ホイールアライメントやタイヤの調整など、レースでは足回りの整備が大きなウェイトを締めていることを改めて認識した。
プロジェクトに参加した一週間、ずっとワクワクの連続で、整備に取り組むメカニックの方たちのプロ意識には感動さえ覚えた。レースの奥深い魅力と、それを支えるメカニックの力を知り、スーパーGTがますます好きになってきた。

兼平 一志
兼平 一志

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神奈川日産自動車株式会社

高橋 英臣

Round.8
2021年 11月27日(土) ~ 28(日)
富士スピードウェイ

高橋 英臣

責任の重さを再認識した。

想像を超えるシビアな世界だった。0.01mm単位で調整していく難しさと厳しさ。目標値に達するまで何度でも繰り返されるトライアンドエラー。決して妥協することも諦めることもない。その姿を見て、「真面目」「ひたむき」という言葉では言い表せないほど深い感銘を受けた。
ファクトリーの最終日には、スーパーGTのルール解説やインパクトレンチの正しい使い方などのレクチャーがあった。インパクトは使い方によっては、車両へダメージを与えてしまうばかりか、自分自身がケガをするリスクもあることを改めて認識した。
ピットではすべての作業が同時進行で動き、次に何をするのか考えながら行動しなければならない。しかも焦らず確実に。決勝日のスタート直前のトラブルにも、適切な方法を即座に判断し秒単位で作業を進めていくシーンは目を見張るものがあった。このような経験をもとに、日常の業務での時間の管理や作業の仕方に活かしていきたいと思う。
1週間を通じて、レース車両であれ市販車であれ、人の命を乗せて走っているということをいままで以上に強く認識した。整備の重要性、責任の重さを痛感した。

高橋 英臣
高橋 英臣

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日産プリンス神奈川販売株式会社

竹田 祥希

Round.8
2021年 11月27日(土) ~ 28(日)
富士スピードウェイ

竹田 祥希

さらなるプロ意識を磨きたい。

ファクトリーで受けた整備のレクチャーでは、ミリ単位で行うホイールアライメント調整を経験した。デジタル機器を使わず、自分の目と手で行うアナログな方法でありながら、その正確な調整に驚いた。
ふだんの仕事で接する一般車両は、レースカーとは異なるので、同じ整備スキルを要求されることはない。しかし、メカニックとしての心構え、取り組みの姿勢は、おおいに参考になった。
富士のコースでは、自分がホイールを装着したレースカーが200km/h以上のスピードで走り抜けていくのを見て、高揚感とともに万一タイヤが外れでもしたら・・・と、緊張せずにはいられなかった。そして、これは速度こそ違うけれど、自分たちの通常業務でも同じことだと気づいた。整備作業の多くは車両の走行に関わっていて、かけがえのない安全を守るためにある。改めて、気持ちを引き締めて取り組んでいこうと思った。
またチームのメカニックの方たちが、予選で良い結果が出なくても落胆することなく、淡々と次にやるべき作業をこなす姿にプロの意識を感じた。決勝のスタート直前には、車両が損傷を受ける事故があったのだが、この時も冷静かつ迅速な作業でマシンを復活させた。心の底では焦りや迷いがあったのかもしれないが、感情に左右されず、自分の責任をしっかりと果たしていた。プロの仕事ぶりを見て、自分もこうありたいと強く思った。

竹田 祥希
竹田 祥希

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岐阜日産自動車株式会社

北川 紘

Round.8
2021年 11月27日(土) ~ 28(日)
富士スピードウェイ

北川 紘

ピットの主役はメカニック。

アンダーフロアパネルの調整、それは車を速くするために。細かいタイヤ管理、それはタイムを縮めるために。速く走るためにつくられたクルマに、メカニックたちのさまざまな努力が惜しみなく注ぎ込まれている。単なる数値合わせではない、妥協を許さないプライドと責任感。車両を完璧な状態でドライバーに渡そうという毅然とした姿勢は、レーシングカーと乗用車の違いはあるが、クルマと向き合う姿勢は見習うべきことだと思う。
今回決勝スタート直前にあいにく車両トラブルが起き、限られた時間の中での修復には、鬼気迫るものがあり驚き感動した。レースはドライバーに注目が集まりがちだが、ピット内ではまさしくメカニックが主役だった。一人一人の動き・作業が一体となり、チームワークの威力が最高値に達した瞬間だったのだろう。自分だけが頑張るのでなくカバーし合うことが大切なのだと、改めて納得した。
ピット内でのメカニックの動きなど、通常のレース観戦では見ることのできない場面が見られるのもメカニックチャレンジならではのことだ。ぜひ多くの人に体験して欲しいと思う。

北川 紘
北川 紘

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浜松日産自動車株式会社

浅野 剛志

Round.8
2021年 11月27日(土) ~ 28(日)
富士スピードウェイ

浅野 剛志

レースから学んだスキルとスピリット。

サーキットに入る前の事前整備の期間、アライメント調整やアンダーフロアの取り付けを体験し、調整のきめ細かさに驚いた。チームのメカニックの人達は、どこをどう調整すると、どんな効果が生まれるのかを知り尽くしていて、テキパキと作業を進めていく。サーキットでの走りに多大な影響を及ぼす整備を、きわめて素早く正確に行うスキルの高さにも脱帽した。
そしてこのアライメント調整を、サーキット入りした後のピットでもう一度実行するという徹底ぶり。ファクトリーとピットでは、環境が変わるので適正値にわずかな誤差が生じるという。それを解消するための2度目の調整なのだ。
これらの整備体験を通して気づいたのは、限られた時間の中で緻密で正確な作業を行うために重要なのは、ただ作業するのではなく考えて行動するということだ。それから、作業のスムーズな流れと安全のためには、声掛けなどのコミュニケーションも大切だとわかった。
決勝レースのウォームアップ走行の際、不運にも他車との接触があった。エアロパーツなどが損傷を受けたのだが、レース開始までのわずかな時間で車両の修復は完了した。技術力はもちろんだが、スタッフ同士の素晴らしい連携と、決して諦めない不屈のスピリットに心を動かされた。
プロジェクトに参加して、レースメカニックの世界に没頭できた一週間。日常では得られない技術や心構えを学べたことが、何よりもうれしいと感じている。

浅野 剛志
浅野 剛志

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愛知日産自動車株式会社

三浦 直樹

Round.8
2021年 11月27日(土) ~ 28(日)
富士スピードウェイ

三浦 直樹

充実感いっぱいの1週間。

モータースポーツがもっと好きになった。本当のレースに関わり、心の底からレースが好きだと実感した。私にとって打ち込め充実した1週間だった。
最終日、私の胸を熱くする出来事があった。ウォームアップ走行中に接触トラブルが発生し、スタートまでのわずかな時間で修復しなければならない。メカニックのムダのない迅速な動き、きちんと意思疎通がとれたチームワーク。鳥肌が立つほど感動的だった。なんとチームワークとは美しいのだろうか。自分の業務にも見習いたいもののひとつだ。
アライメント作業では数値が合わないと、何度も何度も調整を繰り返す。ここには妥協という言葉は存在しない。このようなひとつの作業に対するこだわりの姿勢は、日々の仕事にぜひ活かしていきたいと思う。
ピットでは1台の車両を多人数で作業するため、一つ二つ先の工程を考えながら進めていかないと効率が悪い。会社に戻ったら、自分の業務に当てはめて作業手順や作業分担などもう一度見直してみたい。
メカニックチャレンジに参加して、取り入れたいことや改めて認識したことなど多々あった。とても有意義な1週間だった。普段味わえない緊張感や達成感を多くの人に伝えたい。

三浦 直樹
三浦 直樹

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日産プリンス名古屋販売株式会社

澤村 謙一郎

Round.8
2021年 11月27日(土) ~ 28(日)
富士スピードウェイ

澤村 謙一郎

変わることのない安全への思い。

レース車両の整備は、普段の業務ではまったく経験しないような作業が多かった。しかし、作業のコツとか取り組みの姿勢とか、共通する点や学ぶべき点もたくさんあることがわかり、それを見つけていく過程が楽しかった。
アンダーカバーのフラットボトムを取り付ける作業は、きわめて細かいレベルの調整だ。ダイナミックなレーシングカーの走りが、こんなに小さく繊細な調整の積み重ねから生まれている。その対比が面白いと感じたが、これは通常業務の整備でも同じだと思った。些細な不具合も見逃さないきめ細かい点検や、ていねいな作業が車両の信頼性を高め、お客さまの安全な走りに繋がっていく。
メインスタンド前をレーシングスピードで駆け抜けるリアライズ56号車は、自分がこの手でホイールを締め付けたマシンだ。もし何か起こったらと、大きな緊張感に包まれた。しかし、これも普段の仕事に相通じるものだと思った。お客さまの安全で快適な走行を、まさに自分たちの整備が支えている。そのやり甲斐と責任の重さを強く感じた。
そして予選の日、2回目のQ2進出にあと一歩届かず、17番手という悔しい結果に終わってしまった。ただ、チーム内のムードは決して沈んではいなかった。やれることはやったという満足感とともに、決勝でもベストを尽くすのみという闘志にあふれ、決してネガティブにならないところが本当に逞しいと思った。

澤村 謙一郎
澤村 謙一郎

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