サーキット写真

ツインリンクもてぎ

2021年 7月17日(土) ~ 18(日)

参加者

  • 桑野 駿日産プリンス栃木販売株式会社
  • 村田 悠輔埼玉日産自動車株式会社
  • 桑原 陽生日産プリンス埼玉販売株式会社
  • 安本 翔日産東京販売株式会社
  • 吉岡 郁哉神奈川日産自動車株式会社
  • 渋谷 航来日産プリンス神奈川販売株式会社
レース写真レース写真

予選

天気:晴れ 気温:33度 路面状況:ドライ

梅雨が明けた7月17日。新型コロナウイルスの影響で延期された第3戦に先立ち、第4戦が栃木県のツインリンクもてぎで開催された。
今レースでは、6名のテクニカルスタッフが参戦。レース1週間前からKONDO RACING TEAMに合流して準備を進めてきた。
今シリーズのポイントランキングで1位につけている56号車は、72kgのサクセスウェイトを搭載しての第4戦となったが、7月初旬に参加した現地での事前テストを活かした良いカーバランスで予選を迎えることができた。
Q1はオリベイラ選手がアタック。グループ内2番手となる1’48,366の好タイムを記録し、Q2への進出を決めた。続くQ2では藤波選手が渾身のアタックを決め、3番手でゴール。
Q1、Q2を通じてサクセスウェイトに負けない力強い走りを見せ、決勝レースは好位置からのスタートとなった。

レース写真レース写真

決勝

天気:晴れ 気温32度 路面状況:ドライ

7月18日、決勝が開催された。2列目3番手という好位置からのスタートとなった56号車は序盤から上位を走るライバルたちと激しい争いを繰り広げる。
56号車は重いクルマながらもポジションをキープ。25周目でピットインを行なった。メカニック勢による迅速な作業で給油・タイヤ交換をスムーズに終え、藤波選手からオリベイラ選手にドライバーを交代して56号車はコースに戻った。
しかしコース復帰後、アウトラップのヘアピンコーナーでアウトサイドの走行ラインを走っていた車両と接触。左側前後の足回りにダメージを負い、緊急ピットインとなる。
このレーシングアクシデントは上位争いを展開していた56号車にとっては致命的だったが、メカニック勢による素早いパーツ交換、修復により、短時間で再びコースに復帰。この瞬間を固唾をのんで見守っていた日産メカニックチャレンジプロジェクト総勢400名以上の大応援団からは拍手と歓声が上がった。
日産メカニックチャレンジプロジェクトのねらいの一つである「諦めずに全力でチャレンジする」大切さを、プロジェクトメンバーが実感する大切な場面となった。
コース復帰後の56号車は安定した走行で着実に周回を重ね、26番目でチェッカーを受け、ポイントランキングは3位となった。

米林エンジニアのコメント

米林エンジニアのコメント

今回のレースは72kgのサクセスウェイトで重いクルマでしたが、事前テストの効果もあってとてもバランス良いクルマに仕上げられました。
車両の接触で足回りダメージを受け、緊急ピットインというレーシングアクシデントに見舞われた中でも諦めず頑張ってくれたドライバー二人のためにも、次戦鈴鹿戦で頑張りたいと思います。
鈴鹿はとてもタイヤに負荷のかかるサーキットで、決勝レース、ポイント獲得を考えると予選が非常に大切になります。
チームとしてもしっかりと準備をして鈴鹿に向かいたいと思います。

藤波選手のコメント

藤波選手のコメント

予選、決勝を通してとてもバランスの良いクルマで戦えたので、この流れで鈴鹿でも良い走りをしたいと思います。
チームとしてはシリーズ戦をしっかり見据えて、着実にポイントを重ねていきたいと思いますので僕もオリベイラ選手と一緒に頑張ります。
そしていつも日産メカニックチャレンジで一緒に戦ってくれる日産販売会社メカニックの皆さんと日産自動車大学校の学生さん達はとても心強く、完全にチームの一員という気持ちですね。
引き続き応援よろしくお願いします!

整備士インタビュー

  • 桑野 駿

    桑野 駿

    日産プリンス栃木販売株式会社

  • 村田 悠輔

    村田 悠輔

    埼玉日産自動車株式会社

  • 桑原 陽生

    桑原 陽生

    日産プリンス埼玉販売株式会社

  • 安本 翔

    安本 翔

    日産東京販売株式会社

  • 吉岡 郁哉

    吉岡 郁哉

    神奈川日産自動車株式会社

  • 渋谷 航来

    渋谷 航来

    日産プリンス神奈川販売株式会社

日産プリンス栃木販売株式会社

桑野 駿

Round.4
2021年 7月17日(土) ~ 18(日)
ツインリンクもてぎ

桑野 駿

こだわりの整備には理由があった。

サーキットに入る前、事前整備のレクチャーでアライメント調整やアンダーパネルの取り付けを体験した。ミリ単位の細かいセッティングや、わずかな誤差も見逃さない作業に、整備に対するレースメカニックの強いこだわりを感じた。その時は、なぜここまで、とも思ったがサーキット入りして答えを見つけることができた。
特に予選では、ドライバーが希望する通りのセッティングを短時間で何度もやり直さなければならない。限られた時間内のタイムアタックで、あらゆる可能性を試す必要があるのだ。事前に、細部まで検証しつくした整備を行ない、わずかな調整の違いを把握しているからこそ、ドライバーの繊細なオーダーに素早く応えることができる。さらに、より適切な判断を行うためには、蓄積したデータをいろいろな角度から見て応用力を効かせることも大切だと知った。
レースのほうは、予選3位という好位置につけながら、決勝でGT500マシンと接触するレーシングアクシデントにより、順位を大きく下げることになってしまった。これがレースの厳しさなのだと痛感した。そして、マシンの破損という非常事態を、全員が協力して乗り切ろうとする力強いチームワークと、決して諦めないチャレンジスピリットを学ばせてもらった。

桑野 駿
桑野 駿

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埼玉日産自動車株式会社

村田 悠輔

Round.4
2021年 7月17日(土) ~ 18(日)
ツインリンクもてぎ

村田 悠輔

プロとしての責任と誇りを知った。

ベストな状態でも、さらなるベストをめざす。アライメント調整ひとつをとっても間違いはないか、見落としてはいないか、何度でもmm単位の確認をする。プロ意識の高さは、並大抵ではない。タイヤの管理においても、気温や路面温度などによって絶えず1本1本異なるエア調整をし続ける。作業ひとつひとつが真剣かつ丁寧。プロ意識は精度の高さに表れると思った。
今までそういう決まりだから、そう習ったからとただ漫然と作業をしていたことも、なぜそれが必要なのか、なぜそうしなければならないのかを理解した。例えばタイヤ交換時などでのトルクをかける意味を知り、プロとしての責任を感じた。
今回、決勝において左フロントを損傷するというアクシデントがあった。状態を確認し、リタイヤか修復かの選択の中、即決で修復・レース復帰へ。その作業は、一瞬の出来事のように手際よく正確で、言葉を失うほどチームワークの凄さに感動を覚えた。
チームワークの大切さももちろん、この1週間の経験はすべて自分たちの仕事に通じることで、今後さまざまな場面で活かしていきたい。

村田 悠輔
村田 悠輔

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日産プリンス埼玉販売株式会社

桑原 陽生

Round.4
2021年 7月17日(土) ~ 18(日)
ツインリンクもてぎ

桑原 陽生

すべてのテクニカルスタッフにおすすめしたい。

まず、事前整備を体験した工場のクリーンさと整理整頓ぶりに驚いた。車両の整備や調整は、繊細さを極めたものだったが、もし雑然とした作業環境だったらとてもできないと思った。スタッフの方は、質問に対して何でもわかりやすく丁寧に答えてくれて、レース車両への興味がますます深まっていった。
サーキットに入ってからは、ピットや休憩所の設営など、表にはあまり出ない大変な作業がたくさんあると思った。そのハードな搬入作業が終わると、休む間もなく車輛のチェックに入っていく。やるべき作業は実に多い。限られた日程と時間の中で、ひとりひとりが次にすることを考えながら全力で取り組んでいた。
決勝の日、アクシデントにより車両が損傷した時はピット内の空気がピリッと切り替わった。車両の修復は、正確な連携作業により驚くべきスピードで進んでいく。チームワークとは和気あいあいとすることではなく、互いに自分の役割を自覚し、責任をもって正確な作業をすることで成り立つのだと知った。
このプロジェクトに参加中、とにかくチームの足手まといにならないよう、無我夢中で行動した。毎日、心地よい高まりが続いた7日間。自分が整備したクルマがレースに出ていることが、こんなに楽しいとは思わなかった。機会があれば、ぜひまた参加したい。クルマの整備士全員に、ぜひおすすめしたいと感じている。

桑原 陽生
桑原 陽生

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日産東京販売株式会社

安本 翔

Round.4
2021年 7月17日(土) ~ 18(日)
ツインリンクもてぎ

安本 翔

整備に対するモチベーション、急上昇。

素晴らしいチャンスに恵まれ、感謝でいっぱいだ。自分がレースカーに関われる機会に出会えるとは思ってもいなかったので、この貴重な経験を大切にしようとファクトリーに向かった。ここではアンダーカバーやディフューザーの取り付け、計測など整備の基本やレースの知識を学んだ。驚いたことに小さなボルトも1本1本トルク管理され、チェックを怠らない姿勢は見習うべきことだと思った。
サーキットのピットは想像より狭く、機材の設置場所や工具の整頓がとても重要だと感じた。自分の仕事場もまだまだ改善の余地があるかもしれない。
市販車とは構造の違いはあるが、トルク管理やスパナチェックなど車両に対する向き合い方は、今後の作業に活かしていこうと強く思った。車の整備には、あらゆる所に気を抜かない・気を緩めない、いい意味でのしつこさが必要だと痛感した。
自分が整備に関わったマシンが、目の前で成果として表れるという状況は、整備に対するモチベーションがとても上がることも事実だ。このモチベーションをこのまま抱きながら販社に帰ろう。

安本 翔
安本 翔

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神奈川日産自動車株式会社

吉岡 郁哉

Round.4
2021年 7月17日(土) ~ 18(日)
ツインリンクもてぎ

吉岡 郁哉

価値あるレースメカニック体験。

レースのメカニックは、外から見ているだけでは想像もできない地道な作業を妥協なく行っている。例えばホイールの清掃にしても、クラックなどがないか、可動部に異常がないかなど、清掃というよりも点検の色合いが強い。レースの世界では、ナット取り付け面にわずかなゴミが付いているだけで、ホイールが外れたり、パンクの原因になるので清掃ひとつでも気が抜けない。
アンダーカバーの取り付けでは、5分割されたすべての面を合わせるために、ミリ単位の調整を行う。これによりダウンフォースの量が変わるので、取り付け・取り外しを何度も行ない時間をかけて調整していた。
またレース車両自体も、テールランプ、トランク、パンパーなどがすぐに外せる設計で、その整備性の良さに驚いた。
極めつけは、タイヤ管理だ。エア入れ、エア抜きを何度も繰り返し、その後ドライヤーを通したエアを入れて空気中の水分を少なくし、空気の膨張を最小限に抑える。エア圧は太陽光の熱と走行中の摩擦熱を考慮し、最適値になるように計算されている。
こうした整備技術は、いわばレース車両ならではのものだ。しかし、整備の目的を考えて工夫する姿勢はおおいに参考になった。1週間、とても良い緊張感の中で作業させていただき、整備に対する考え方、取り組み方が自分の中で確かに変わったと感じている。

吉岡 郁哉
吉岡 郁哉

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日産プリンス神奈川販売株式会社

渋谷 航来

Round.4
2021年 7月17日(土) ~ 18(日)
ツインリンクもてぎ

渋谷 航来

絶えず緊張感を忘れない。

アンダーカバーのmm単位の調整、空気圧・温度・円周、摩耗具合などタイヤの何項目にも及ぶ測定・管理から、ホイールの清掃やタイヤ表面のカス取りに至るまで、何ひとつ誰ひとり妥協することなく緊張感をもって丁寧に行われる。細やかな測定、何度も繰り返される確認にはただただ敬服するばかりだった。ひとつひとつの作業を焦らず確実にこなしていくことこそが、スピードと正確さという二律背反のテーマの解答だと確信した。
サーキットでは爆音が響き、レース独特の熱気や迫力に満ちていた。その一方ピットの中は、ピーンと張りつめた緊張感が漂っていた。そのような雰囲気の中、さまざまな作業を1秒でも早く間違いなくやり遂げなければならない。この空気感は、私のやる気を起こさせてくれると気づいた。「緊張感」を絶えず持ち、日々の業務をつとめようと強く思った。それによってお客さまとの厚い信頼関係を築けるのではないだろうか。
今回のプロジェクトでは、普段経験できない現場を体感することができ、とても楽しく有意義だった。機会があったら、ぜひ多くに人に参加して欲しいと思う。

渋谷 航来
渋谷 航来

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