サーキット写真

鈴鹿サーキット

2021年 8月21日(土) ~ 22(日)

参加者

  • 野田 誠人岐阜日産自動車株式会社
  • 青木 拓也愛知日産自動車株式会社
  • 藤川 希世紀日産プリンス名古屋販売株式会社
  • 窪田 卓弥三重日産自動車株式会社
  • 西村 優作日産プリンス三重販売株式会社
  • 川﨑 一武滋賀日産自動車株式会社
  • 百田 一稀京都日産自動車株式会社
  • 福井 裕都日産大阪販売株式会社
レース写真レース写真

予選

天気:くもり 気温:26度 路面状況:ドライ

5月下旬に開催予定だった第3戦は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により4ヶ月遅れて鈴鹿サーキットで開催された。今大会もチームスタッフ全員のPCR検査や入場制限など厳しい感染症対策が敷かれた。今回は東海・近畿地方から8名のテクニカルスタッフが参戦。レース1週間前からチームに合流して準備を進めてきた。
予選日の朝は時折小雨が降る不安定な天候でコースのところどころが濡れていたが、9時の公式練習ではドライコンディションとなった。
前回の第4戦もてぎで、痛恨の接触により戦線離脱を余儀なくされた56号車。
今回も、72Kgのサクセスウェイトを搭載しながら、今シーズンのタイトル争いに向けてポイントを少しでも獲得すべく上位入賞を目指す。
公式練習では1分58秒436と3番手となる好タイムをマーク。予選に向けてマシンのセットアップを詰めていった。
午後2時30分、ノックアウト方式の公式予選Q1がスタートした。56号車はA組での走行となり、藤波選手が乗り込んだ。Q1通過条件となるトップ8を目指し、Q1終了間際ではアタックラップに入り1分57秒640をマークしたが、惜しくも9番手。Q1通過は叶わなかった。
予選全体の順位は18位となり、翌日の決勝レースでは後方から追い上げを目指すこととなった。

レース写真レース写真

決勝

天気:くもり 気温:31度 路面状況:ドライ

8月22日決勝。鈴鹿サーキットの上空は前日に続いてくもり空が広がり不安定な天候だったが、スタート時間が近づくにつれて天候は回復。気温も上昇して真夏日となった。
午後2時40分。ウォームアップ時の他車両のアクシデントにより予定より10分遅れてのスタートとなった。本レースは1周5.8kmを52周する。18番手スタートの56号車は藤波選手がスタートドライバーを務め、スタート直後の混戦をクリアして順調な滑り出しを見せる。しかし、ヘアピンコーナーで他車両と接触、その反動でピットロードスイッチに触れてしまいスピードが強制的に落ちてしまう。一時最後尾までポジションを下げるが、藤波選手の猛追により6周目には23番手までポジションアップ。
レースは5周目に500クラスの車両のクラッシュによりフルコースイエローが出され、セーフティーカーが導入。火災も発生したため、修復に時間がかかり12周目から再開された。
56号車はこうした事態を受けてピットインを2回行う作戦に変更。1回目のピットインは給油のみを済ませて素早くコースに戻った。レース中盤、ライバル勢がピットインを終えていく中で56号車はコースに留まり、ポジションを順調に上げていく。レース終盤に2回目のピットインを実施し、メカニックによる迅速なタイヤ交換、ドライバー交代を終えコースへと車両を送り出す。ピットインの間に19位までポジションを落とすが、オリベイラ選手に交代した56号車は上位陣を次々とオーバーテイク。さらにファイナルラップで一気に2台を交わす熱い走りを披露し、8位でフィニッシュ。
目標通りタイトル争いに向けて貴重なポイントを獲得することに成功した。次回第5戦は9月11日、12日にスポーツランドSUGOで開催される。

藤波選手のコメント

藤波選手のコメント

決勝はスタート直後に接触があり、トラブルがありましたが、チームの作戦やオリベイラ選手が追い上げてくれたおかげで、ポイントがとれて良かったです。
レースはチームで成り立っているので、いつも完璧な仕事をしてくれるメンバーには感謝しています。
今回は学生さんがピットに入れず残念でしたが。
販売会社のTSのみなさんの一生懸命学ぼうとする姿勢や、前向きな姿勢でやってくれているのでとてもありがたいしそれにいつも応えたいと思っています。

オリベイラ選手のコメント

オリベイラ選手のコメント

今回は完璧なレースは残念ながらできませんでした。ポイントは(鈴鹿戦終わって)2位でした。
残りのレースは完璧なレースをしたいです。
まだ優勝のチャンスはあるので、残りのレースはチーム、藤波選手と共に頑張ります。

整備士インタビュー

  • 野田 誠人

    野田 誠人

    岐阜日産自動車株式会社

  • 青木 拓也

    青木 拓也

    愛知日産自動車株式会社

  • 藤川 希世紀

    藤川 希世紀

    日産プリンス名古屋販売株式会社

  • 窪田 卓弥

    窪田 卓弥

    三重日産自動車株式会社

  • 西村 優作

    西村 優作

    日産プリンス三重販売株式会社

  • 川﨑 一武

    川﨑 一武

    滋賀日産自動車株式会社

  • 百田 一稀

    百田 一稀

    京都日産自動車株式会社

  • 福井 裕都

    福井 裕都

    日産大阪販売株式会社

岐阜日産自動車株式会社

野田 誠人

Round.3
2021年 8月21日(土) ~ 22(日)
鈴鹿サーキット

野田 誠人

安全を担う責任感。

もともとレースが好きで、この日産メカニックチャレンジにも興味があった。以前、自分の会社から参加したテクニカルスタッフにも話を聞き、ぜひ参加してみたいと思った。
ファクトリーでの準備期間を含めて、普段とは違う緊張感の中で、充実した一週間を過ごせたと感じている。
事前整備では、アライメント調整、アンダーパネル、ディフューザーの取り付けなどを体験した。どの作業も調整が細かく、最適な数値が出るまで何度でもやり直すという徹底ぶりに驚いた。またサーキットへ移動してからは、特にタイヤ管理が勉強になった。タイヤの状態を細かく確認し、路面条件や温度に応じて、空気圧を繰り返し調整していた。走行直後のタイヤのカス取り作業も経験した。タイヤが熱くて大変だったが、これが操縦性や安全にも関わると聞いて、おろそかにできないと思った。
このプロジェクトを通して、メカニックの作業はすべて安全への意識が根底にあることを実感した。レースメカニックも、自分たちテクニカルスタッフも、乗る人の命を預かる仕事という点は同じだ。ビスひとつでも緩めば、ドライバーの命に関わってくる。安全に対する責任感、プロとしての意識は、大いに参考になった。

野田 誠人
野田 誠人

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愛知日産自動車株式会社

青木 拓也

Round.3
2021年 8月21日(土) ~ 22(日)
鈴鹿サーキット

青木 拓也

改めて整備が好きになった。

一人ひとりが今何をしなければいけないのか把握し、すばやく正確に動く。すべてのスタッフがチームのために動き、その驚くほどのスピード感と一体感、そして対応力。それは見とれてしまうほど格好いい。その秘訣のひとつが「声だし、声かけ」だと発見した。スタッフ同士の細やかな声かけで、秒単位のスケジュールがスムーズにこなされていく。各自声を出し合うことによって、作業性が向上し安全確認もより確実になることが、身に染みて理解できた。自分の普段の業務にも、常に声を出すよう心がけたいと思った。
このプロジェクトに参加して、日々の忙しさの中、日常の業務で忘れている当たり前のことが一番大事だと気づいた。それは、どんな些細なことも責任感をもって作業することで、ミスのない安全な作業ができるということだ。会社に帰ったら、自分にもう一度徹底しようと思う。
この1週間、普段味わうことができない貴重な経験ができた。学んだこと、気づかされたこと、発見したこと、ますます自動車の整備が好きになった。できることなら、何度でもメカニックチャレンジに参加したい。

青木 拓也
青木 拓也

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日産プリンス名古屋販売株式会社

藤川 希世紀

Round.3
2021年 8月21日(土) ~ 22(日)
鈴鹿サーキット

藤川 希世紀

安全で確実な整備のために。

日産メカニックチャレンジの初日は緊張感も大きく、スタッフの方との接し方もよくわからなかった。ファクトリーでの事前整備を通して、優しく、時には熱く、レース車両の整備を親身になって教えていただくうちに、しだいに自分がやるべきことを理解できるようになった。活動全体の中で、このファクトリー体験は精神的にも充実して非常に貴重なものだったと感じている。
鈴鹿サーキットへ移動する前に、準備した機材をトランスポーターに積み込んだ。トレーラーの大きさも凄いと思ったが、さまざまな工具、材料、パーツ、資料など、積み込むモノの多さにも驚いた。工具には精密機械も含まれるので、慎重を期して運ばなければならない。また積む順番も、ピットに着いた時に降ろす順番を考えながら積み込んでいく。積載ひとつでも、計算と知識が必要だ。
この日産メカニックチャレンジでの経験は、特に安全で確実な作業の大切さを教えてくれた。サーキットのピットで、たとえばジャッキの上げ下げの時は必ず声とジェスチャーで合図を送るなど、確認と伝達が徹底されている。レース車両ならではのノウハウもあるが、通常業務の現場ですぐに役立ちそうなことも多い。テクニカルスタッフの仲間にぜひ参加を勧めたいし、もし可能であれば、自分も二度目三度目のチャレンジをしたいと思った。

藤川 希世紀
藤川 希世紀

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三重日産自動車株式会社

窪田 卓弥

Round.3
2021年 8月21日(土) ~ 22(日)
鈴鹿サーキット

窪田 卓弥

充実した事前整備体験。

ファクトリーでの事前整備期間には、レースで使用するブレーキローターの組み立てや、タイヤ交換の実習などを行った。座学では、レース車両やスーパーGTに関する知識を身に付けることができた。一般車両とは異なる整備を学べて、しかもサーキット入りしてすぐに役立つ内容が多かった。
高さ調整のしやすいリジッドジャッキの使い方、シムによるフロアカバーの水平出し、ホイールウェイトを外す際の注意など、実戦的なノウハウを得ることができた。アライメント測定は、糸やキャンバゲージを使うシンプルな方法だった。緻密さとコツが必要な作業だが、ピット内で慌ただしく行われる場合もあるので、しっかり覚えようと思った。
また、レース車両用のドグミッションの内部を見せてもらう機会があった。一般車両のマニュアルミッションとは異なる変速パターンや、シンプルで耐久性、信頼性に優れた特性など、レース車両ならではの仕様を知ることができた。
これらの知識や方法の多くは、通常業務の現場にそのままでは活かせない。しかし、一般車両とレース車両の違いを知り、厳しい世界で磨かれた整備技術と出合うことはとてもよい刺激になった。貴重な体験が詰まった充実した一週間だったと思う。

窪田 卓弥
窪田 卓弥

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日産プリンス三重販売株式会社

西村 優作

Round.3
2021年 8月21日(土) ~ 22(日)
鈴鹿サーキット

西村 優作

何事も丁寧な作業に尽きる。

ひとつひとつの作業が、実に丁寧に行われていたのが印象的だった。0.1mm単位の調整、ボルトやタイヤのエアバルブのビスも1本1本しっかりとトルク締めを行う。一般車両では0.1mmレベルまで要求されることはあまりないが、妥協を許さない繊細な作業を学ぶことは貴重なことだと思う。改めて初心に帰ることができた。
貴重な体験と言えば、レースで使われるドグミッションを分解して見せてもらった。なかなか見る機会がないので、とても興味深かった。このような経験こそが、モチベーションの向上、スキルアップにつながっていくと確信した。どんなに小さなボルト1本でも手を抜かず、確実な整備をめざしたい。会社に戻っても、手を抜くことなく、丁寧な作業をしていこうと強く胸に刻んだ。
自分が整備に携わったマシンが、時速260kmもの速さで300kmの距離を完走した姿を目の前で見て、整備士としての満足感と達成感でいっぱいになった。私のメカニックチャレンジは終了したが、これからの通常業務につながる情熱とチカラが湧き上がってきたことは間違いない。

西村 優作
西村 優作

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滋賀日産自動車株式会社

川﨑 一武

Round.3
2021年 8月21日(土) ~ 22(日)
鈴鹿サーキット

川﨑 一武

視野が大きく広がった。

従来からレース観戦が好きで、レースメカニックに興味があったので、このプロジェクトにどうしても参加したかった。しかし当初、第3戦は5月に予定されていたが延期され、首を長くして待っていた。そしてついにその日が来た。
サーキットでの準備では、タイヤの空気充填が興味深かった。レース車両は空気圧管理がシビアなことは聞いていたが、内部の温度・湿度まで徹底していた。たった1%の水分でも空気圧は変化すると言われるほどデリケートなのだ。
ピットには独特の緊張感があった。車両がピットインすると、すぐさま作業に取りかかり、あっという間に終える。メカニックのスピード感あふれる動きは、今後の私の整備作業に少しでも取り入れられたらと切に願った。もちろん速さだけでなく、ミスのない正確さもだが。
今回メカニックチャレンジに参加して、大きな収穫を得た。普段扱っているクルマとは違うことばかりなので、今までとは違った目線でクルマを見ることができるようになったこと。クルマの奥深さを知り、視野が広がったと思う。この貴重な体験を、会社で多くの人に伝えていきたい。

川﨑 一武
川﨑 一武

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京都日産自動車株式会社

百田 一稀

Round.3
2021年 8月21日(土) ~ 22(日)
鈴鹿サーキット

百田 一稀

徹底した調整とトルク管理。

レース車両の整備を経験してみて、そのシビアさは想像以上だった。整備の確実性、完璧なトルク管理、100分の1レベルまでつきつめる調整。それらが、レースの結果や安全面に大きな影響を与えることを知った。
アンダーカバーの取り付けでは、一般車両の場合はクリップやボルトで取り付けて終わりだが、レース車両は違う。取り付けの高さを、0.1ミリのレベルで何度でも調整する。この高さのわずかな差で走行タイムが変わるからだ。単なる取り付けではなく、まさに“チューニング”をしているのだ。
アンダーカバーの取り付けも含めて、とにかくボルトで締める作業ではしっかりとトルク管理が行われていた。締め付けトルクの基準値は、たとえばホイールナットの場合、一般車両が108N・m程度に対してレース車両では750N・mにもなる。時速263km/hで走行中、ボルトが1本外れたとしたら重大な事故につながることは明白だ。いつも緊張感をもち、トルク管理や締め付けの確認は欠かせないと思った。
プロジェクトの当初は、レースやレース車両の知識もなく非常に不安だった。スタッフの方々から学び、自分で体験するうちに、今後もレースに注目したいと思い始めた。いまは何よりも、より完璧な整備を目指そうという強い意欲を実感している。

百田 一稀
百田 一稀

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日産大阪販売株式会社

福井 裕都

Round.3
2021年 8月21日(土) ~ 22(日)
鈴鹿サーキット

福井 裕都

自信につながる。

私がメカニックチャレンジに参加したのは、レース活動の現場での経験を通し、クルマへの知識を深めたい、そして会社へ戻ってからのお客さま対応、技術向上へつなげていきたいという思いからだった。
実際、貴重な経験の連続だった。アンダーカバーの取り付けに0.25mmのズレを妥協しない姿勢や、天候が不安定だったため何度もタイヤの組み替えを行い、最適なセッティングを求める執念には尊敬の気持ちでいっぱいになった。
ピットでは、チーム全員がひとつにまとまり機敏に無駄なく動く。それを見てプロとしての責任感・プライドがヒシヒシと伝わってきた。自分を振り返ってみて、ぜひ見習いたいと思った。
レースメカニックの方々からは、本当にさまざまなことを教えてもらった。会社に戻った後のお客さまとの会話を想定してわかりやすく説明していただいたので、自信を持ってトークをすることができるはずだ。このプロジェクトに参加したことによって、整備士としての幅が拡がったと実感できたら、こんなにうれしいことはない。私にとって大きな財産になった1週間だった。

福井 裕都
福井 裕都

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