富士スピードウェイ

気持ちいいチームワーク。

ピットでの緊張感、独特の高揚感、そしてチームが一丸となった心地よさ。憧れの世界で、貴重な体験ができた。レースカーが自分の装着したタイヤでサーキットを走っているのを見ると、胸が熱くなった。一生大切にしていきたい思い出である。
コンマ1mmレベルの調整を徹底的に行い、レースカーを走らせる。速さを追求することはもちろんだが、最大のミッションはドライバーの安全を第一に考えること。これは私たちの日常の業務にも相通ずるものだ。お客さまの安全を守るために正確に、そして安易に妥協しないことが大切だと痛切に感じた。
ピットの中ではドライバー、メカニック、エンジニアのチームワークの良さを実感した。チカラを合わせて問題にあたれば、答えも早く見つかる。それぞれがしっかりと自分の仕事をし、みんなと協力しあい作業をする。自分の職場でもこんな素晴らしいチームワークをめざしたいと本気で思った。
技術的なことはもちろん、いろいろなことに気づかされ、たくさんなことを学んだ1週間だった。明日から新鮮な気持ちで、日々の業務に向かえそうだ。

確実にスキルアップにつながる。

見ること、やること、すべてが勉強になることばかりだった。レースカーの整備はミリ単位の作業の連続で、例えばアライメント調整には糸とスケールを使い、微細な調整が行われる。アナログな方法だが、とても細かな調整が可能で、最も精度の高い測定方法だと知った。
レースにおいてはブレーキオイルの交換ひとつとっても、ブリーダーのトルク管理の些細なミスによって安全な走行に影響が及ぶ。普段当たり前のように行っている作業だが、レースの世界ではより慎重により正確に行わなければならない。数値がすべて揃うまで繰り返し作業を続け、決して妥協しない姿勢は、ぜひ見習いたい。会社に帰ったら日常の業務をもう一度見直し、日々の業務に活かそうと思う。
そしてチームワークの大切さも教わった。ひとつの作業に対し、必ずお互いに確認し合う。良いチームワークこそ、クルマを安心して乗っていただくための基本だと思った。
作業の内容やひとつひとつの作業の大切さなどを実感した1週間。必ずやスキルアップにつながるだろう。また参加できる機会があったら、ぜひ参加したいと切に思う。

車とレースがますます好きになった。

富士スピードウェイ入りする前に事前整備の期間があり、レースメカニックに関する技術や知識のレクチャーがあった。特に印象に残ったのは、アンダーパネルの取り付けだった。ただ装着するのではなく、位置や高さを緻密に調整し、まさにボディ下のチューニングという感じだった。自分のテクニカルスタッフ業務でも、アンダーパネルの装着を希望されるお客様がいらっしゃるが、今回の経験を活かしてワンランク上の整備を提供したいと思った。またタイヤ交換は、一見簡単そうにも見えるが、ピット作業を意識したスピードでやると、タイヤを抜き差しする時にどうしてもフェンダーやブレーキキャリパーに当ててしまう。イメージトレーニングが大切だと聞いて、姿勢を安定させたスムーズなタイヤ交換を、このプロジェクトの間中ずっと思い描くことにする。
サーキット入りした翌日は、車検日だった。午前中の車両準備では、事前に練習した整備をほぼ問題なくクリアすることができた。イメージトレーニングが効いたのかもしれないと、うれしくなった。やがて、公式予選日、決勝当日へと、チーム内の緊張感はしだいに高まっていく。決勝レース中は、プロフェッショナル達のピットワークを目の前にして、その素晴らしい動きと判断力に、ただただ圧倒された。レースは予選26位というポジションから、なんと4ポイント獲得の7位でフィニッシュ。改めてチームのレベルの高さを感じるとともに、車やレースがますます面白いと思えてきた。そして、スタッフの方々から学んだことを、自分の仕事にきっと活かしていこうと決意した。

精度の高い整備士をめざす。

レースメカニックは、私の夢。憧れだったレースカーの整備に関われ、普段の仕事では体験できない緊張感や感動、達成感を味わうことができた。これで、私にとって夢のひとつが叶ったことになる。こんな素晴らしいチャレンジ企画を用意していただいき感謝でいっぱいです。多くのテクニカルスタッフに、ぜひ参加して欲しいと思う。
ミリ単位での調整や各部品の取り付けも、しつこいほど確認し正確を極める。とても精密で丁寧な作業だった。さまざまな調整作業では、何度も何度も思い通りの数値になるまで妥協しない。正直言って「ここまでやるのか」と思った。この姿勢が整備の基本であり、自分の日頃の業務にも徹底していきたい。
どんなに細かい作業でも手を抜かず、ひとつの目標に向かって一人ひとりが頑張る。そしてそのチカラを合わせ、大きなパワーを生み出すチームワーク。これからの仕事にも活かしていこうと思う。
予選結果は26位だったが、決勝では7位にまで順序を上げた。最後まであきらめないこと、最善を尽くすことの大切さも学んだ。完璧な整備をめざし、精度の高い整備士になりたいと改めて再確認した。

かつてないメカニック体験。

一週間に渡る日産メカニックチャレンジに参加して、レース車両に触れ、普段の仕事とは違う整備方法を知り、多くの貴重な体験を得ることができた。
まず、ドアやエンジンフードを外した時、その軽さに驚いた。そして、軽量化されたボディの下に空気をスムーズに流すためのアンダーパネルを装着するのだが、パネル面の高さを1mm以下のレベルで調整していた。ごくわずかな違いではないかと思ったが、これが走行タイムに大きく影響するらしい。またアライメント調整では、大掛かりなシステムではなく、シムを使った高精度なキャンバー調整や、タイヤを付けたままでエンジンフードから車高調整ができる設計など、今までに自分の手でやったことがない整備を経験できた。
公式予選の日は、走行してきたマシンのタイヤ交換をやらせてもらった。タイヤも、溶けて削れたタイヤカスも、ブレーキも、火傷しそうになるほど熱くなっている。限界に近い走りによって、車体に大きな負荷がかかることを実感した。
このプロジェクトで出会った多くの驚きは、日常のメカニック業務にそのまま導入できることではない。しかし、こうした究極の整備を速く確実に行うためのコツや工夫、さらにスタッフの方々の素晴らしいチームワークを、自分の仕事にも活かしていきたいと思った。