サーキット写真

岡山国際サーキット

2021年 4月10日(土) ~ 11(日)

参加者

  • 松本 和滋賀日産自動車株式会社
  • 重村 菜緒京都日産自動車株式会社
  • 岩橋 春樹日産大阪販売株式会社
  • 後藤 直人和歌山日産自動車株式会社
レース写真レース写真

予選

天気:晴れ 気温:17度 路面状況:ドライ

悲願の初優勝を達成した2020年の最終戦から4ヶ月弱。2021年のスーパーGTは、昨年度に引き続きコロナ禍での開催となったが、2年ぶりに岡山国際サーキットで開幕戦を迎えた。
3年目となる「日産メカニックチャレンジ」。これまで72人のテクニカルスタッフ(以下TS)が日々磨き上げてきた整備技術とともにレースに挑んできた。
今年の開幕戦では4名のTSがレースでの整備に挑戦。レースの5日前からKONDO RACING TEAMに合流し、レース車両の整備について学んできた。いよいよレースに臨む。
春の好天に恵まれ、ドライコンディションで実施された公式予選Q1。56号車は藤波選手がステアリングを握った。3月に富士スピードウェイで行われた公式テストで好タイムを記録し、マシンバランスが好調な56号車は4位のタイムをマーク。予想以上の好タイムでQ2に進んだ。
続くQ2はドライバーを交代してオリベイラ選手がアタック。合計29台が激しい争いを繰り広げるGT300クラスで4位。翌日の決勝レースで表彰台を狙える位置を獲得し、好スタートを切った。

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決勝

天気:晴れ 気温:19度 路面状況:ドライ

4月11日、1周3,703m・82周の決勝レースが行われた。新型コロナウイルス感染対策により制限がある中、観客たちは岡山に足を運びレースを見守った。
優勝を狙う56号車は、トップから離されないタイム設定からセーフティーカーが入った場合のピットシュミレーションまで綿密に作戦を練った上で、スタートに立った。

午後1時30分、2周のフォーメーションラップを経てレースがスタート。冒頭から56号車は激しいトップ争いに参戦。上位4位の攻防となる。
その後GT500クラスの車両が追いつき混戦となる中、他車がクラッシュ。13周目からリスタートとなるが、56号車は好位置をキープすることに成功。
25周を終え、ピットインする車両が出始めた頃、再び他車がクラッシュ。今レース2度目のセーフティーカーが導入される。これを予測した多くの車両がピットインを行い、ピットは一時大混乱となる。混雑する中で56号車は見事な整備力を発揮。迅速なピットワークを経てトップに浮上。ドライバー交代後はオリベイラ選手の集中したドライビングで、GT500との混走を切り抜けながらトップを維持。最後まで2位との攻防が続いたが0.4秒差の僅差で開幕戦優勝を達成。1位から4位までが1秒差という大接戦のレースを制した。

winning image
藤波選手のコメント

藤波選手のコメント

昨年はコロナの影響で岡山でのレースが無く不安でしたが、今年の公式テストではクルマ作りをJPさんとしっかりやっていきました。そのおかげか岡山に来て走り始めから調子が良く、予選も予想以上良い結果を出せたと思います。
決勝レースはミスをしないことを心掛け、早めに65号車をパスできました。クルマの状態も良く、ピット作業、レース戦略も上手くいきました。第2戦も頑張ります。

オリベイラ選手のコメント

オリベイラ選手のコメント

今回は予選も決勝も良かったです。GT-Rのポテンシャルを100%出せたと思います。
藤波さんが65号車をパスして、セーフティカーが入るタイミングでのピットインがターニングポイントになりました。
ピットインのタイミングも、メカニックの作業もパーフェクトでした。
自分のドライビングもパーフェクトを求められたレースで、小さなミスも絶対に許されない状況で100%の力を出すことが必要でした。
大変でしたが、2位の車とのギャップをコントロールしてチーム皆で勝ち取った“パーフェクトウィン”でした。

米林エンジニアのコメント

米林エンジニアのコメント

先ず今年は公式テストの時からJAF-GT規則の車においていかれないようなクルマづくりを目指しました。
その効果もあったと思いますが、今回の予選は想像していた以上に良い感じでした。
決勝レースは4番グリッドからのスタートだったので、とにかくトップから離されないようにしました。
もちろんセーフティカーが入った場合のシミュレーションもしっかりとやっていたので、慌てずチームも作業ができ皆で勝ち取った優勝ですね。
第2戦も全力でがんばります。

整備士インタビュー

  • 松本 和

    松本 和

    滋賀日産自動車株式会社

  • 重村 菜緒

    重村 菜緒

    京都日産自動車株式会社

  • 岩橋 春樹

    岩橋 春樹

    日産大阪販売株式会社

  • 後藤 直人

    後藤 直人

    和歌山日産自動車株式会社

滋賀日産自動車株式会社

松本 和

Round.1
2021年 4月10日(土) ~ 11(日)
岡山国際サーキット

松本 和

プロのテクニックとチームワーク。

日産メカニックチャレンジに参加した一週間、プロの整備テクニックの奥深さを知るとともに、チーム全体がレースという目的に向かっていく心地よさを感じた。
そして、安全で正確な作業をより速く行うために、レースメカニックの現場には多くの工夫や機能的なシステム、スタッフ間の取り決めがあることがわかった。
たとえば、ピット作業の基本となるタイヤ交換と給油でも、高効率の作業性が実現されている。ホイールを脱着するインパクトレンチは、ナットを緩めた後レンチを床に置くと、そこで逆回転に切り替わる。タイヤを入れ替えて次にレンチを床から持ち上げた時には、そのままナット締め付けの作業に入れるのだ。また給油とタイヤ交換は同時にできない規則なので、タイヤ交換作業が終わると給油機へサインが送られ、給油作業が終わるとインパクトレンチへサインが送られるという相互の通信システムが導入されている。これらに加えて、作業が切り替わる際には、必ず声を出し、手を上げる、というスタッフ間のアナログな合図も同じぐらい重視されている。
安全・正確・スピーディな作業は、全員が高い意識と信頼感でまとまったチームワークから生まれる。日常の業務に戻った時、チームだからこそ発揮できる大きな力について、後輩たちと一緒に考えていきたいと思った。

松本 和
松本 和

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京都日産自動車株式会社

重村 菜緒

Round.1
2021年 4月10日(土) ~ 11(日)
岡山国際サーキット

重村 菜緒

前向きな整備に取り組みたい。

レースのメカニックは、整備のスキルが高いだけではない。たとえばタイヤマネージメントでは、常に調整の意味と目的を考えて作業を行う。空気圧ひとつとっても、走行条件によって変化する最適値をいつも意識して、車検時でも、予選時でも、妥協なく空気圧をコントロールする。さらに予選走行時のタイヤ選びでは、タイムアップ狙いはもちろんだが、規則により決勝でも同じタイヤを使うことになるため、非常にシビアな判断が必要になってくる。ドライバーや監督の意見を聞き、車両の仕上がり、ラップタイム、天候、路面状態など、あらゆる要件を探り、綿密に計算しながらベストなタイヤを選択しなければならない。レースの現場では、それぞれの作業に大きな意味と目的と判断がこめられていたのだ。
普段、自分のテクニカルスタッフ業務では、決められた仕事を丁寧にやることを特に心掛けてきた。これからはもっと前向きに、さらに一歩踏み込んでいきたい。ひとつひとつの作業の意味を確かめ、最適な方法を探りながら、より積極的な整備に取り組んでいこうと思った。

重村 菜緒
重村 菜緒

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日産大阪販売株式会社

岩橋 春樹

Round.1
2021年 4月10日(土) ~ 11(日)
岡山国際サーキット

岩橋 春樹

楽しい勉強の1週間。

新しい発見の連続だった。タイヤの重要性やアライメント調整の精密さなど、知らないことばかりだった。特にタイヤの重要性を目のあたりにした。ファクトリーでの事前作業で、タイヤやホイールの細かいキズひとつでも走行に影響を及ぼすと聞かされ、レースとは想像以上にとても繊細なものだと実感した。実際にサーキットでは、タイヤの内圧を計測し、温度や湿度、タイヤの温度変化にあわせ4輪それぞれの空気圧を調整する。空気圧に過不足があると、レースカーとタイヤの性能をフルに発揮できないだけでなく、タイヤの損傷や事故につながる恐れもある。一般の乗用車でも、適正空気圧の点検・調整は重要なことだが、より緻密により執拗に行っている印象だった。
現場でしかわからない空気感や、みんなの動きが一瞬に連携するチームワークなど、日常の業務では味わえない大変さや楽しさが体験できた。この貴重な経験は、お客様とのコミュニケーションにも役立つと思う。
この日産メカニックチャレンジに参加でき、とても勉強になった。私にとって有意義な1週間だった。

岩橋 春樹
岩橋 春樹

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和歌山日産自動車株式会社

後藤 直人

Round.1
2021年 4月10日(土) ~ 11(日)
岡山国際サーキット

後藤 直人

会社のチーム作りに活かしたい。

レース本番までの準備がここまで大変だとは、想像していなかった。一見華やかなレースの世界だが、徹底した確認・調整・テスト・改善と、ひたむきな努力の上に成り立っているとつくづく思った。レースメカニックの真剣な姿勢を学ばせていただき、プロの整備士として職務を全うしていきたいと本気で誓った。
憧れのレース車両の整備に携われたことに加え、ラッキーなことにその車両が優勝する瞬間にも立ち会えた。まるで夢のようなことを経験した。国内最高レベルのレーシングチームに加わり、整備技術やプロのチームワークを現場で直接学ぶことができた。教わったことが自分自身の自信につながり、高い意識を保ったまま日常業務に活かせると強く思う。この日産メカニックチャレンジに参加でき、日産の整備士の道を選んで間違いはなかったと再確認した。
自分の会社でも今回学んだことを活かし、後輩たちにも何事にも真剣にひたむきに取り組むこと、自分の意思を確実に伝える重要性を教え、より強いチームを作っていきたいと思った。そのために自ら率先して行動していこうと決心した。

後藤 直人
後藤 直人

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