サーキット写真

ツインリンクもてぎ

2020年 11月7日(土) ~ 8(日)

参加者

  • 伊藤 晃史株式会社日産サティオ弘前
  • 佐藤 慎平日産プリンス秋田販売株式会社
  • 廣木 晶太日産プリンス栃木販売株式会社
  • 小和瀬 稜群馬日産自動車株式会社
  • 平田 英果群馬日産自動車株式会社
  • 渡部 祐浩埼玉日産自動車株式会社
  • 村添 佑介日産プリンス埼玉販売株式会社
  • 藤波 智人神奈川日産自動車株式会社
  • 近藤 葵日産プリンス神奈川販売株式会社
レース写真レース写真

予選

天気:晴れ 気温:19℃ 路面状況:ドライ

SUPER GT第7戦は、今シーズンは2度目となる栃木県のツインリンクもてぎで開催された。前回の第4戦は無観客だったが、今回は多くの観客を迎え入れての開催となった。

56号車は第6戦終了時点で総合4位。チーム初の総合優勝に向けてなんとかライバル勢とのポイント差を詰めておきたい56号車にとって、第7戦は大切な一戦となった。

第7戦では前戦までの獲得ポイントの1.5倍がウェイトハンディが搭載されるルールのため、36ポイントを獲得していた56号車は54kgを載せて大会に挑む。

11月7日予選は秋晴れ。公式予選Q1は藤波選手がステアリングを握った。ブレーキングが激しいコーナーが多く、世界的にもブレーキに厳しいと評されるツインリンクもてぎ。午前のフリー走行の際にブレーキにやや課題を感じたが、Q1では1‘47.375をマークしてグループを6位で突破。続く予選Q2では、オリベイラ選手が走行。決勝を意識してセットアップ、マシンバランス、タイヤ特性に注意を払いながらアタック。結果1’47.170で7位となり、翌日の決勝は4列目7位のスタートポジションから表彰台を目指すことになった。

レース写真レース写真

決勝

天気:晴れ 気温:21℃ 路面状況:ドライ

11月8日、予選に続き素晴らしい晴天と11月には珍しいくらいの暖かさの中で決勝を迎えた。コースを見下ろすグランドスタンドには日産メカニックチャレンジのホスピタリティが運営された。販売会社や日産、日産自動車大学校など総勢350名を超える大応援団が会場に訪れ、56号車とチームに参加するテクニカルスタッフ(以下、TS)に熱い声援を送った。

決勝でスタートを務めた藤波選手は序盤のポジション争いの中、4位にジャンプアップ。
第6戦でピットイン前のセーフティーカー導入により順位を大きく落とした56号車は早めのピットインを予定していた。案の定コース上に止まった車両を確認し、21周目にピットイン。その直後にセーフティーカーが導入された。前戦の経験が功を奏し、絶妙なタイミングでドライバー交代、給油、タイヤ交換を行った56号車は実質2番手でコースに復帰することができた。

藤波選手からバトンを受けたオリベイラ選手は、トップの4号車を猛追。テール・トゥー・ノーズ、サイド・バイ・サイドの激闘の末、56号車はトップを奪うことに成功。日産メカニックチャレンジのブース、KONDO RACING Teamのピットから大歓声が上がった。その後、4号車の猛追を受けながらも56号車はなんとか振り切り、60周目に2位と約1秒差でトップでチェッカーを受けた。

今シーズン2度目の優勝を飾った56号車は総合ランキングでもトップに浮上。初のシリーズタイトル奪取に向けて富士スピードウェイで行われる最終戦に臨む。

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整備士インタビュー

  • 伊藤 晃史

    伊藤 晃史

    株式会社日産サティオ弘前

  • 佐藤 慎平

    佐藤 慎平

    日産プリンス秋田販売株式会社

  • 廣木 晶太

    廣木 晶太

    日産プリンス栃木販売株式会社

  • 小和瀬 稜

    小和瀬 稜

    群馬日産自動車株式会社

  • 平田 英果

    平田 英果

    群馬日産自動車株式会社

  • 渡部 祐浩

    渡部 祐浩

    埼玉日産自動車株式会社

  • 村添 佑介

    村添 佑介

    日産プリンス埼玉販売株式会社

  • 藤波 智人

    藤波 智人

    神奈川日産自動車株式会社

  • 近藤 葵

    近藤 葵

    日産プリンス神奈川販売株式会社

株式会社日産サティオ弘前

伊藤 晃史

Round.7
2020年 11月7日(土) ~ 8(日)
ツインリンクもてぎ

伊藤 晃史

この体験と出会いを大切にしたい。

11月2日から8日の一週間、スーパーGT第7戦の日産メカニックチャレンジに参加した。
前半4日間はファクトリーでの座学や事前の整備実習があった。その後、サーキットのツインリンクもてぎ へ移動し、ピット設営から車検の準備、練習走行、公式予選など、チームの一員としてほぼすべてのイベントを体験することができた。この充実したスケジュールの間は、見るものすべてが新鮮で、本当に価値ある経験をしているという思いが、日増しに強くなっていった。
レース車両の整備というと、ボディの派手なカラーリングや会場の華やかな雰囲気から、うわべだけのカッコ良さを感じがちだが、実は非常に地味で繊細で誠実な作業の積み重ねなのだと知った。そして、その作業のスピードと正確さにも驚いた。
プロジェクトへの参加を通して、一般車両の整備と方法は異なるけれど、安全と確実性を極めるための姿勢や工夫はおおいに参考になると思った。また、チームの方がた、日産自動車大学校の学生諸君、他社から参加したテクニカルスタッフ達と出会えたことも、貴重な財産になったと感じている。

伊藤 晃史
伊藤 晃史

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日産プリンス秋田販売株式会社

佐藤 慎平

Round.7
2020年 11月7日(土) ~ 8(日)
ツインリンクもてぎ

佐藤 慎平

レースメカニックに学ぶ。

このプロジェクトに参加するまでは、ピット作業のアシスタントをするものだと思っていた。しかし始まってみると、サーキットに入る前の事前整備期間を含めて車両に触れる機会も多く、「本当にレースに参加するんだ。」という期待感が日を追うごとに高まっていった。
整備作業で一番驚いたのは、タイヤの管理だ。温度管理やピックアップ除去はもちろんだが、空気圧の調整は非常にシビアなものだった。注入するエアは、熱膨張の影響を抑えるために湿度までしっかりと管理されている。エアの抜き方ひとつで内圧が変化するため、きわめて繊細な感覚が要求される。
またタイヤ管理以外でも、例えば取り外したボルトは使い捨てるのではなく、1本1本きれいに清掃・点検し、使用した期間の走行距離を記録して保存される。
こうしたやり方を、日常の仕事にそのまま適用はできないが、細やかな神経を使う取り組み方を見習いたいと思った。そして、レースメカニックのノウハウを熱意をもって教えてくれたスタッフの方々に感謝したい。KONDO Racingの皆さんが、我々をチームの一員として本気で接してくれたのも、とてもうれしかった。

佐藤 慎平
佐藤 慎平

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日産プリンス栃木販売株式会社

廣木 晶太

Round.7
2020年 11月7日(土) ~ 8(日)
ツインリンクもてぎ

廣木 晶太

自分のスキルアップにつなげたい。

日常業務とは全く違う、独特の緊張感を味わった。レースの世界では、いかに素早く正確に、そして丁寧に行うかが問われる。ひとつの作業でも数々の点検、念入りな清掃、細かい作業がタイムを左右するほど影響力を持っている。例えばホイールひとつとっても、タイヤカスやハブ内側などの清掃からバランスウェイト、エアバルブの締めつけ状態の点検まで、実に多くの作業がある。ただ時間をかければいいのではなく、よりスピードと効率を上げながら正確な整備をする。このような整備の姿勢・考え方は、日々の現場でも通じること。販社に帰ったら、さっそくもう一度見直しをし、スキルアップにつなげようと心に決めた。
決勝の日は、ピットワークに参加でき、ラッキーなことに第5戦に続き今シーズン二度目の優勝を目のあたりにした。一人ひとりが確実にチカラを出し切る、ひとつの目標に一丸となって向かう。この結果を通じて改めてチームワークの大切さを思い知らされた。そしてチームの一員として共に喜べる感動も味わえ、満足感で胸がいっぱいになった。この体験をもとに、お客さまの安心・安全を守る大切な仕事という緊張感を絶やさず、通常の業務に励んでいきたい。

廣木 晶太
廣木 晶太

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群馬日産自動車株式会社

小和瀬 稜

Round.7
2020年 11月7日(土) ~ 8(日)
ツインリンクもてぎ

小和瀬 稜

繁忙時ほど、“より丁寧に慎重に”を心がけたい。

もともとモータースポーツが好きな私にとって、日産メカニックチャレンジはサーキットで実際の整備のお手伝いができる絶好のチャンスだった。サーキットでは、ピットインしたマシンの熱くなったホイールを清掃している時も、トップを走るマシンを見守っている時も、思い切りテンションがあがった。そして優勝の瞬間をピットで見られたことは、最高の思い出となった。
メカニックの皆さんのコンマ1秒でも速く走るために、100分の1単位まで突き詰め、一切の妥協を許さない姿勢には尊敬の念が尽きない。私の整備士魂も大いに刺激された。レースカーの整備を通して、コンマ1秒を求めていくシビアな世界に立ち会えたことは、自分自身をレベルアップしていくきっかけになると思う。確実に素早く、ミスのないよう作業を工夫していくことは、日々の業務と共通する。特に時間のない時こそ、丁寧に慎重に作業するという経験を活かしていきたい。
このプロジェクトへの参加は、憧れのレーシングカーを整備することができ、さらに優勝という最高の結果で終わることができ、まるで夢のような出来事だった。

小和瀬 稜
小和瀬 稜

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群馬日産自動車株式会社

平田 英果

Round.7
2020年 11月7日(土) ~ 8(日)
ツインリンクもてぎ

平田 英果

心を磨いて次のチャレンジへ。

このプロジェクトに参加して、たとえばアライメント調整では工具の使い方や力の入れ方とか、作業上注意すべき点をたくさん学べて、とても勉強になった。でも私にとって一番の成果は、技術的なことよりも精神面での成長と意識の変化だったと感じている。
普段の仕事では、男性に比べると体力はないので、できない作業があっても当たり前だと思っていた。でもほとんどの作業は、力まかせではなく、力加減とコツでできることや、作業スピードも工夫次第でまだまだ速くなれることがわかった。
それから、速くやることと焦ってやることは違う、というのも改めて実感。予想外の出来事に焦って対応すると、ほぼ失敗する。きちんと落ち着いて取り組めば、すんなりいくことが多い。
またチームでの作業は、自分だけで考えていては前へ進めない。他の人の動きを見て、必要に応じて交替したり、柔軟に取り組むことが大切だ。そこから本当のチームワークが生まれ、一人ではできない大きな仕事が動くようになる。
プロジェクトの最終日は、私のグループは決勝レースの観戦だった。スタンドには日産自動車大学校の女子学生もいて話が弾んだ。メカニックの世界では女性はまだまだ少数派だと、彼女も残念がっていた。女性だって充分に活躍できることを、皆さんに広く知ってもらいたい。そのためにも、他のテクニカルスタッフや学生の人たちと、もっと話をしてみたい。いろいろな人と出会い、チャンスには積極的に挑戦していきたいと思った。

平田 英果
平田 英果

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埼玉日産自動車株式会社

渡部 祐浩

Round.7
2020年 11月7日(土) ~ 8(日)
ツインリンクもてぎ

渡部 祐浩

足まわりにこだわるチューニング。

レース車両のメカニック作業は、とにかく“足まわり”につきると思った。ホイールアライメントからブレーキ、タイヤ管理など、準備期間から決勝本番まで、足まわりに関する調整作業は実に多く、そして奥が深い。事前整備期間の実習で特に印象的だったのは、アライメント調整で「もう、このぐらいでいいだろう。」という意識は無くしてくれと言われたことだ。調整を完璧なレベルまでつきつめる覚悟がなければ、整備に必ず隙が生まれる。それは、レースへの志気に関わるばかりか、絶対に譲れない安全さえも損ないかねないということだ。その言葉どおり、コンマ1レベルの緻密なアライメント調整が時間をかけて何度も行われた。事前整備期間にこれだけ調整すればもう万全だと思ったが、それも違っていた。公式予選の日も、決勝の日も微調整は繰り返された。回数も驚いたが、調整のたびに車の走りが少しずつ変わるのはワクワクする経験だった。
一番やってみたかったタイヤ交換も、ホイール脱着のコツや無駄のない動き、スタッフの連携などを学ぶことができた。レースでは、ピットワークの時間差で勝敗が決まることもある。車両同士のバトルだけではなく、もうひとつの戦いがここにあるんだと感じた。
この日産メカニックチャレンジに参加して、モータースポーツがますます好きになった。車の世界はいま大きな変革期を迎えつつある。モータースポーツで、新しい車社会を活性化できないだろうかと考えた。

渡部 祐浩
渡部 祐浩

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日産プリンス埼玉販売株式会社

村添 佑介

Round.7
2020年 11月7日(土) ~ 8(日)
ツインリンクもてぎ

村添 佑介

クルマの楽しさ、整備の面白さを実感。

初日は、KONDO Racingのメンテナンスを行っているモーラのファクトリーへ。市販車とは全く違う足回りは興味津々だった。実際の作業としては、アンダーパネルやディフューザーの取り付けなどを体験した。運転席にも座ることができ、大興奮だった。驚いたことは、車高が1mm違うだけでも重量バランスが変化してしまうということ。それほどシビアな調整が求められる世界なのだ。サーキットでも同じような測定が行われるが、事前に測定し調整した数値とピッタリと合っていて、その正確性に驚嘆した。コンマ何ミリという精度の高い調整が繰り返される。測定の大切さと積み重ねたデータが今後の作業に活かされていくことを学んだ。
今回のプロジェクトに参加して、クルマの楽しさ、整備の面白さが改めて実感できたのと、それが自分自身にとてもプラスになったと思う。
ひとつひとつの作業の正確性、決められた数値に確実に合わせる技術、そしてフォローしあうチームワーク。自分たちの日常の業務にすべて活かすことができる。いや、活かしていきたいと決意した。初日から最終日まで充実した時間を過ごすことができ、有意義な一週間だった。

村添 佑介
村添 佑介

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神奈川日産自動車株式会社

藤波 智人

Round.7
2020年 11月7日(土) ~ 8(日)
ツインリンクもてぎ

藤波 智人

大きな視野を持ち、仲間を思うチームワーク。

ファクトリーの事前作業で「これは参考になる」と思ったのは、ミスが起きないようマシンの左右や工具が色分けされていたり、確実に伝わる作業終了の合図があったり、すぐにでも私の現場でも取り入れたい。
ピット作業においてはスピードだけでなく、他の人がやっている作業も視野に入れておかないと、どこかでタイムロスが発生してしまうということを学んだ。自分一人で作業していると決して思ってはいけないのだ。一人ひとりの動きや作業状況をつねに把握し、気を配り助けあうことが大切だと心底感じた。これは過酷なレースという世界だけの特別なことではなく、日常の現場にもつながることだと断言できる。
今回のプロジェクトで改めて思ったのは、一人で作業するのではなく、周りを見てチームとして動くという考え方は、これからの私の人生にとても有意義なことだと確信した。
この日産メカニックチャレンジは、レースに触れること、技術を得ることだけでなく、自分の仕事への姿勢や考え方など精神的な成長ができると思う。参加できたことへの感謝とともに、多くの人に参加を強くお勧めしたい。

藤波 智人
藤波 智人

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日産プリンス神奈川販売株式会社

近藤 葵

Round.7
2020年 11月7日(土) ~ 8(日)
ツインリンクもてぎ

近藤 葵

アナログを極める高度なテクニック。

サーキットに入る前の事前整備では、スーパーGTの基礎知識について解説を受けるとともに、実際のレース車両を使ってレースメカニックの基本を学んだ。ブレーキの調整やアライメント調整など、整備項目としては普段の仕事でやっていることだが、やはりレース用車両の整備となると、ノウハウにだいぶ違いがある。意外だったのはアライメント調整で、我々は普段デジタル式のテスターを使っているが、ここでは完全なアナログ式だ。レースの世界では、整備工場でもサーキットのピットでもアライメント調整を頻繁に行う。車両やコースのコンディションが少しでも変われば、変わった分だけのきめ細かい足回りデータが必要になる。大きな機器を設置して一定条件の元に調整を行うデジタル式は、臨機応変のキメ細かいアライメント調整に向いていないらしい。それにしても、アナログ式で非常に細かい調整を正確に行うのは、かなりの習熟度を要求される。これを普段の仕事で実践するのは無理かもしれないが、測定の仕方や作業の考え方は、デジタル式の参考になる部分がたくさんあった。
こうして、驚きと新しい気付きの連続で過ごした一週間。短い間だったが、本当の仲間として接してくれたチームの皆さんに、感謝の気持ちを伝えたい。

近藤 葵
近藤 葵

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