スポーツ走行を行う場合は、スポーツ点検として、メンテナンスノートに綴じ込みの「スポーツ走行点検整備記録簿」に応じた、以下のメンテナンスが必要です。
スポーツ走行後はスポーツ点検を実施することで保証復帰となります。
実施しない場合、GT-Rが持つ本来の性能を十分に発揮できなくなるばかりでなく、故障又は破損の原因になります。
スポーツ点検は、高精度かつ高度な技術が必要なため、特別教育を受けたGT-R認定T/Sが常駐し、専用の設備機器を備えたNHPC又はNISSAN GT-R特約サービス工場で実施してください。
NISSAN GT-R 特約サービス工場
※特にスポーツ走行を中心とした車両セットアップについては、下記NISSAN GT-R特約サービス工場へのご相談をおすすめいたします。
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神奈川県横浜市鶴見区大黒町6-1 |
Tel:045-505-8508 |
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静岡県駿東郡小山町吉久保75-1 |
Tel:0550-70-5014 |
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東京都西多摩郡瑞穂町二本木765-1 |
Tel:042-568-2135 |
スポーツ走行する場合の保証条件
この車両は一般公道で使用することを前提に開発しています。特別な条件での走行(サーキット走行やシャシダイナモ測定など)が起因となる不具合については保証の対象になりません。
スポーツ走行前及び走行後はすみやかにNHPC又はNISSAN GT-R特約サービス工場でスポーツ点検を実施してください。スポーツ点検を実施しなかったことに起因する不具合は保証対象外となります。
※NISMO仕様車及びTrack editionの点検項目及び保証条件は、従来のGT-Rと同じです。また、スポーツ走行前後の点検についても、通常の項目及び基準になります。
スポーツ走行する場合のアドバイス
マルチファンクションメーターでの油水温確認
水温・油温・油圧が規定値を超えると、マルチファンクションメーター(別冊)内の表示が赤色の警告に変わります。
スポーツ走行時はナビゲーション画面をマルチファンクションメーターに切り替え、水温・油温・油圧を表示してください。赤色の警告に変わったときはクールダウン走行を行ってください。
(規定値内に戻ると白色の表示に戻ります。)
〈警告表示温度〉
エンジン冷却水温度:110℃~ ※1
エンジンオイル温度:135℃~ ※2
トランスミッションオイル温度:140℃~ ※3
走行後のクールダウン走行
スポーツ走行直後はクールダウン走行(60~80km/h、5~6速で3~5km)を行ってからエンジンを停止してください。
走行後の給油
ガソリン残量が1/2以上(特に3/4以上)の場合、ハードスポーツ走行・高速走行・真夏の渋滞走行直後などでは、ガソリンタンク内が高温高圧になっているため、給油時にキャップを開くとき“プシュー”という気流音とともにガソリン蒸気が抜けたり給油がしにくくなる場合がありますが、異常ではありません。
ガソリンタンクの温度が下がるとこの現象はおさまります。
このような状況では、 キャップを静かにゆっくり緩めて蒸気を抜いたあと、 キャップを開け、 少しずつ給油を行ってください。
スポーツ走行前の点検・調整・推奨項目
油脂類
油脂類が規定量であることを確認してください。
エンジンオイルレベルの確認及び補充をしてください。
エンジンオイルレベルについては、エンジンオイルレベルゲージのHレベルから約10mm分(約0.5ℓ)減らした油量にしてください。エンジンオイル量の点検は、エンジンを暖機した状態でエンジンを停止し、約5分経過してから行ってください。また、オイルフィルターはエンジンオイル交換時にセットで交換してください。
納車時のエンジンオイルレベルは、スポーツ走行時に最適な『H-10mm』に合わせています。
エンジンオイル消費量の目安は、最大で0.5ℓ/1,000kmです。これ以下のエンジンオイル消費は異常ではありません。
パワーステアリングフルードレベルゲージのRレベルにパワーステアリングフルード量を調整してください。
フルード温(暖機後)50℃~80℃:(A)
フルード温(冷機時)0℃~30℃ :(B)
冷却水の補給と濃度調整
⇒加圧式ラジエーターリザーバータンク内の量を確認し、MAXになるように調整してください。
⇒冷却水をMAX以上に入れ過ぎないでください。
冷却水を入れ過ぎると加圧式ラジエーターリザーバータンクからあふれるおそれがあります。
⇒冷却水のエンジンクーラント濃度は30%を推奨します。凍結防止仕様車は濃度が50%になっています。冷却効率を向上させるため、濃度を30%に下げることを推奨します。
エンジン・ドライブトレイン
エンジンやラジエーター、トランスミッション、デファレンシャル周辺やその他、下回りからオイルや冷却水の漏れやにじみがないか点検してください。
触媒コンバーターの周辺に熱害がないか点検してください。
トランスミッションのセッティング
トランスミッションのセッティング(トランスミッションのセッティング)を必ず行ってください。その上で、クラッチクリアランスを通常より狭くなるように調整してください。クラッチクリアランスが広いとクラッチの発熱が大きくなりトランスミッション油温の上昇につながります。またクリアランスを狭くすることで、よりダイレクト感ある変速に変更することができます。走行後は再度調整を行ってください。
ドライブシャフトジョイントのダストブーツに亀裂や損傷がないか点検してください。
アライメント
サスペンションやその他の各リンク部にがたつきや緩みがないか点検してください。
ホイールアライメントの測定・調整をしてください。
アライメント
NISMO仕様車及びTrack edition以外の車両
「街乗りからサーキットなどでのスポーツ走行」までお客さまの用途に合わせたセッティングが可能ですので、NHPC又はNISSAN GT-R特約サービス工場にご相談ください。
一般にキャンバー角が大きい(タイヤ角度がねている状態)とタイヤが偏摩耗しやすくなりますので、通常の街乗り走行はフロント及びリヤキャンバー角を小さく(タイヤ角度が立っている状態)調整することを推奨します。
NISMO仕様車及びTrack edition
⇒キャンバー角 |
前輪 -1°55′~-2°05′ |
後輪 -1°50′~-2°00′ |
⇒トーイン量 |
前輪 1.2mm |
後輪 1.2mm |
アライメント測定推奨条件
(乗員なし ・車載工具搭載なし ・燃料満タン状態 ・タイヤ内圧:前後輪共に250kPa)
※上記はスポーツ走行する場合の推奨値となります。
新車時及び走行距離やなじみの状態により推奨値にならない場合があります。
一般にキャンバー角が大きいとタイヤが偏摩耗しやすくなりますので、通常の街乗り走行はフロント及びリヤキャンバーの狙い値を小さく(タイヤ角度が立っている状態)調整することを推奨します。
「街乗りからサーキットなどでのスポーツ走行」までお客様の用途に合わせたセッティングが可能ですので、NHPC又はNISSAN GT-R特約サービス工場にご相談ください。
※トーアウトの禁止
トーイン量についてはトーアウトになるとタイヤの偏摩耗や、タイヤ内側の局部発熱によるタイヤ破損が発生するおそれがあるため、必ずトーインになるように調整してください。
なお、トーイン量が多すぎても局部発熱を促進するおそれがあります。
必ず、フロントトーはイン1.5mm以下、リヤトーはイン2.0mm以下に調整してください。
タイヤ・ホイール
タイヤの摩耗状態、亀裂の有無などの点検をしてください。
タイヤ内圧の測定・調整をしてください。内圧調整は、車両が冷えているときに行ってください。
※気温変化や高度変化によりタイヤの内圧は変化します。
タイヤの内圧が低い状態で走行すると、トランスミッションなどのパワートレイン系部品に悪影響を与えたり、タイヤがバースト(破裂)するなど、思わぬ事故につながるおそれがあります。
季節の変わり目などに定期的にタイヤ内圧を点検、調整してください。
タイヤ内圧
高速走行やスポーツ走行時など、タイヤ温度が高くなったときに、前後のタイヤ剛性バランスをより均等にするために、タイヤ内圧を以下のように調整してください。
走行スタート時(タイヤが冷えている状態)
前輪 |
210kPa (NISMO仕様車及びTrack edition以外) |
220kPa (NISMO仕様車及びTrack edition) |
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後輪 |
200kPa |
タイヤ内圧上昇時(タイヤが温まっているとき)
前輪270kPa、後輪260kPaを超えないように調整してください。
タイヤ内圧を調整したあとは、必ずタイヤ空気圧警報システムのリセット操作をしてください。タイヤが温まった状態のときにタイヤ内圧を調整した場合は、タイヤが冷えたあとにタイヤ内圧を確認後、リセット操作をしてください。
※タイヤが温まった状態では正しくリセットされないため、冷えた状態でリセット操作をしてください。
タイヤ脱着時にホイールナットがなめていないか点検してください。
ホイールとタイヤの回転方向合わせ位置にずれが生じるとタイヤバランスが狂い、車両振動が発生するおそれがあるため、合わせ位置にずれがないか点検してください。
⇒ホイール内側のタイヤとの合わせ目など、目立たない場所に「合わせマーク」を付けます。
大きな走行負荷がかかると、タイヤとホイールの(回転方向の)合わせ位置がずれることがありますが、「合わせマーク」を付けておくことで、このずれを発見しやすくなります。
(例)
タイヤ空気圧センサーを取り付けているナット及びセンサー内のバルブに緩みや窒素ガス漏れがないか点検してください。
タイヤ空気圧センサーのシールゴム、コア、キャップはスポーツ走行をする場合は3年以内に交換してください。スポーツ走行をしない場合でも、5年以内に交換してください。シールゴムが汚れると、タイヤのエア漏れの原因となります。
ホイールナット及びドライブシャフト用センターナットに緩みがないか点検してください。
ハブのガタつきや回転方向に引っかかりがないか点検してください。
通常はロードホイールをつけた状態での点検になりますが、エンジンオイル交換のタイミングに合わせて、ロードホイールを外した状態で点検を行ってください。
ロードホイールのバランスウエイトが脱落しないようにアルミテープなどで保護してください。
ブレーキ
ブレーキの熱劣化と摩耗、ブレーキ周辺部品の熱劣化がないか点検してください。
新車後に初めてスポーツ走行をする場合やブレーキフルード交換後又はハードなスポーツ走行をする場合はブレーキフルードのエア抜きを推奨します。
⇒ブレーキフルードのエア抜きは、しばらく走行してブレーキキャリパーが熱を帯びている状態(100℃程度:サーキット走行で5周位)でエア抜きをすることを推奨します。
フロントブレーキパッドに塗布されているグリースを、丁寧にふき取ってください。
ブレーキパッドのならし
⇒ブレーキパッド表面から1~2mm分白化(およそ600℃)するまで、ブレーキパッドの焼き入れを推奨します。
⇒サーキット走行で120km/hから0.6Gの制動で、20km/hまで減速させることを連続で15回程度繰り返し行い、その後必ずクールダウン走行(60~80km/h、5~6速で3~5km)を行いブレーキを冷ましてください。
※絶対に公道でのブレーキパッドならしはしないでください。
その他
マフラーフィニッシャーとリヤバンパーのクリアランスが、上下方向6mm以上、左右方向5mm以上確保できているか点検してください。
スポーツ走行後の点検・調整項目
油脂類
車体の下周りから油脂類の漏れやにじみがないか確認してください。
油脂、冷却水量の確認及び補充をしてください。
スポーツ走行後のオイル交換インターバル
各油脂類の交換は、以下の条件に従ってください。
| 項 目 |
交換時期 |
|
|---|---|---|
| エンジンオイル |
走行中の油温が110℃を超えなかったとき |
15,000km又は1年毎 |
| 走行中の油温が110℃~130℃になったとき |
5,000km |
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| 走行中の油温が130℃を超えたとき |
走行後、すみやかに交換 |
|
| トランスミッションオイル |
走行中の油温が120℃を超えなかったとき |
60,000km |
| 走行中の油温が120℃~140℃になったとき |
5,000km |
|
| 走行中の油温が140℃を超えたとき |
走行後、デファレンシャルオイルとセットですみやかに交換 |
|
| デファレンシャルオイル (フロント・リヤ)※1 |
走行中のトランスミッション油温が120℃を超えなかったとき |
60,000km |
| 走行中のトランスミッション油温が120℃~140℃になったとき |
5,000km |
|
| 走行中のトランスミッション油温が140℃を超えたとき |
走行後、トランスミッションオイルとセットですみやかに交換 |
|
| ブレーキフルード |
5,000km |
|
| 項 目 |
指定油脂 |
|---|---|
| エンジンオイル |
Mobil 1(0W-40) |
| トランスミッションオイル |
ミッションオイルR35スペシャル |
| デファレンシャルオイル (フロント、リヤ) |
デファレンシャルオイルR35 COMPETITION type 2189E |
| ブレーキフルード |
ブレーキフルードR35スペシャルⅡ |
アライメント
サスペンションやその他の各リンク部にがたつきや緩みがないか点検してください。
ホイールアライメントの測定・調整をしてください。
※タイヤ内側の偏摩耗に有利な街乗り用のアライメントに調整することを推奨します。
タイヤ・ホイール
タイヤの摩耗状態、亀裂の有無などの点検をしてください。
タイヤ内圧の測定・調整をしてください。内圧調整は、車両が冷えているときに行ってください。
タイヤ内圧を調整したあとは、必ずタイヤ空気圧警報システムのリセット操作をしてください。
※タイヤが温まった状態では正しくリセットされないため、冷えた状態でリセット操作をしてください。
ホイールナットがなめていないか、取り付け部の座面に変形がないか点検してください。
ホイールナット及びドライブシャフト用センターナットに緩みがないか点検してください。
ハブのがたつきや回転方向に引っかかりがないか点検してください。
ホイールとタイヤの回転方向あわせ位置がずれてないか点検してください。
タイヤ空気圧センサーを取り付けているナット及びセンサー内のバルブに緩みや窒素ガス漏れがないか点検してください。
ブレーキ
ブレーキの熱劣化と摩耗、ブレーキ周辺部品の熱劣化がないか点検してください。
ブレーキパッド・ディスクローターの状態を点検し、必要に応じ、基準に従って交換してください。
フロントブレーキパッドの両端にニッサンディスクブレーキパッドガイドグリースを塗布してください。
その他
マフラーフィニッシャーとリヤバンパーのクリアランスが上下方向6mm以上、左右方向5mm以上確保できているか点検してください。
エンジン・ドライブトレイン
エンジンやラジエーター、トランスミッション、デファレンシャル周辺やその他、下回りからオイルや冷却水の漏れやにじみがないか点検してください。
触媒コンバーターの周辺に熱害がないか点検してください。
クラッチクリアランスとシフトフォーク位置を調整してください。
ドライブシャフトジョイントのダストブーツに亀裂や損傷がないか点検してください。
タイトコーナーブレーキング現象が極端に大きくなっていないかを確認してください。