ECO

NAPS搭載
SUツインに別れを告げ EGIを搭載


75年9月。昭和50年排出ガス規制適合のために、フェアレディZにもNAPSを組み込んだL20E型エンジンが搭載された。無鉛ガソリンの販売が始まったことも、規制当時を思い出す出来事のひとつだろう。エンジン型式の最後に付くEは、もちろん電子制御燃料噴射装置、ニッサンEGIの搭載を意味しているのはご存じの通りだ。
NAPSとは、NISSAN ANNTIPOLLUTION SYSTEMから造られたネーミングで、Zに搭載されたNAPSは、次のような構成で排気ガス中の成分をコントロールしている。
まず、NAPSの要になっているのが、スロットル開度、エンジン回転数、吸入空気量、排気ガス温度等をモニターし、エンジンに最適な空気/燃料比率を与える電子制御燃料噴射装置(ニッサンEGI)だ。

これによる混合気のマネージメントで、排出ガス中のCO、HCの低減を図る。そして、この装置の搭載により、エンジンプレーキ中の燃料供給をカットして排気ガス中の有害成分をさらに低減させる機能も持っていた。
同時に触媒も採用されている。アルミナにプラチナをコーティングした触媒コンバーターに排気ガスを通過させることで、CO、HCをさらに低減させる手法も取り入れら れた。その他、燃焼室から排出されるガスばかりではなく、燃料の蒸発ガス中に含ま れるHCを抑えるためのキャニスターや、燃料タンクからの蒸発を防ぐための仕組みを 取り入れた専用のタンクを採用するなど、細かい配慮が見られるのが特徴となっている。

気になるエンジンの出力は、最大トルクの17.0kg-mの数値は同じながら、最高出力は130PSとなり、従来モデルに比べ5PS上乗るデータを持つことに。当時のカタログには、5速マニュアル車が190km/h、4速ミッションモデルが180km/h、オートマチックが170km/hと最高速が記載されていた。

当時のカタログを開いても、前後ストラットによる4輪独立懸架サスペンション、ラック&ピニオンのステアリングシステム、そして放熱性の向上を狙ってリアに採用されたフィン付きドラムなど、スポーツカーらしいメカニズムが紹介されている。また、排出ガス規制などの装置の搭載で増加した重量に対応すべく、2by2 4速ミッション車はファイナルレシオの変更を受けている。

当時の雑誌に掲載されたインプレッションを振り返ると、排出ガス規制によるレスポンスの鈍化、キャブレターならではの吸気音の減少など、スポーツカーとしての「キ ーワード」が減少したことを嘆いたものも少なくなかった。ファンもそれを嘆いた事 は言うまでもない。
そしてわずか数年の間に存在する規制済みエンジン搭載車と排出ガス規制以前の車両。中古車マーケットでも特にスポーツカーの売り文句は、「未対策」という文字やSUツイン、ソレックスなどキャブレターであることが絶対条件のように語られていたのも懐かしい事実である。

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