Z432から240Zへ
71年10月。フェアレディZに新たな1ページが開かれた。
それまでにS20ユニットを頂点にしてきたものから、2400ccのエンジンを搭載したモデルにその役目を引き継ぐことにしたのである。これはすでに始まっていたフェアレディZの輸出仕様車のエンジンを搭載したモデルの投入でもあり、フェアレディZ432が持っていたシャープなレーシングシーンの雰囲気とは別の角度からフェアレディZのスポーツ度を高めるものとなったのである。
ボア×ストローク83mm×73.7mmのL24型エンジンは、150PS/5,600rpmと、出力的にS20を10PS下回るが、最大トルクは21.0kg-m/4,800rpmと発生回転は低く、しかもマキシマムトルクは大きくなったエンジンのおかげで、スペック的には240Z、240ZLで最高速が205km/h (200km/h) 0-400m加速が15.9秒 (17.0秒)、空気抵抗を軽減する通称G・ノーズを採用した240ZGでは、最高速度は210km/h (200km/h) 15.8秒 (16.9秒) [ () 内はAT車 ]と、充分なカタログデータを手にしながら、通常のドライバビリティーも大いに向上させている。
なにより、まだほとんどの車種が2000ccを上限としたラインナップだったなか、このフェアレディZの進化が周囲に与えたインパクトは大きかったのはいうまでもない。特に、240ZGが採用した空力ノーズとH規格のラジアルタイヤを履き、オーバーフェンダーでボディーサイドを引き締めた、当時のスーパースポーツモデルの象徴的なアイテムを盛り込むなど、三度マニアに深い溜息を付かせることになったのである。
フェアレディ240Zはすでに70年11月には全米選手権レースでクラス優勝を納めたのをはじめ、71年1月のモンテカルロラリーで総合5位、10位を獲得。4月に行われたイーストアフリカンサファリラリーでは見事総合優勝を遂げるなど、苛酷な場面での強さ、速さを証明してみせた。また、鈴鹿サーキットで開催された500kmレースでも総合優勝するなど、スポーツカーとしての資質が大排気量エンジンと見事にマッチングした事を証明した。