CRAVANIST #02 父の背中を見ながら築き上げた鉄筋一筋親子の絆

鉄筋業
徳田直人 NAOTO TOKUDA

仕事。

「やりがいとか、考えたこともなかったです。ただ完璧に、美しく仕上げることを求めてきました」

ビルやマンションを始めとする現代の様々な建造物には、『鉄筋』と呼ばれる金属の芯材が組み込まれている。鉄筋業の現場で働く職人たちは、日々、何本も束ねたその鉄筋の山を担ぎ上げ、定められた長さに切断し、『ハッカー』と呼ばれる工具や電動結束機を使って、基礎となるその骨組みの一本一本を、丁寧な手技で組み上げていく。

「一番こたえるのは、炎天下に重たい鉄筋を担ぎ上げる瞬間。あと、冬の冷たい雨も。共通しているのは、どの季節でも一日中、汗だくってことくらい」 現場を仕切っている親方の徳田が、結束線で鉄筋を結ぶ手を休めることなく続ける。

「この一本を忘れただけで、建物を取り壊して造り直すこともあるくらい、厳しい基準があるんです。日常的に求められているその品質に、完璧に応えること。無口でもいいから、とにかく真面目で、人より神経質なくらいの方が向いているかもしれません」

株式会社徳田鉄筋は、職人歴13年目になる徳田直人が営む会社だ。そもそもが徳田の父は筋金入りの鉄筋職人。弟もその跡を継ぐようにして、現場の道へ進んだ。家族の中で唯一、大学へ進学した徳田が現場の世界へ飛び込んだのは、23歳の頃だった。

「怒鳴られ続けながらも、ひたすら綺麗に、素早く鉄筋を組むことだけに心を砕いてきました。でも、実際にこの仕事を始めるまでは、現場や鉄筋の仕事が好きではなかったんです」

そんな徳田が現場に入るきっかけとなった父からの一言がある。
「人生、やりたいようにやれ。ただ鉄筋の仕事なら、やった分だけ稼げるぞ、と。最近では随分丸くなりましたが、当時の親父は、周りの職人からも“鬼の徳田”と呼ばれるくらい怖かった。この仕事について真剣に考えるようになったのは、そんな親父の下で働き始めたのがきっかけです」

以来、やるからには稼げるようになってやると、必死で仕事を覚えてきた。時には父に、鉄筋でヘルメットを割られるほど殴られることもあったという。
「目で見て盗めって、よく言うでしょう? 本当にそれしかないんです、親父は。昔気質な性格で、言葉で巧く教えてくれるタイプではなかった。そのかわり、全部自分でやって見せて、この仕事に必要なすべてを教えてくれたんです。なんだかんだ言って、尊敬しています」

今では徳田の請け負う現場に、弟と父がいる。

仲間、家族。

普段は穏やかに話す徳田だが、現場の職人たちに向けて激しい檄を飛ばすこともある。
「(仲間たちからは)厳しいと男だと思われているかもしれないですね。でも、気を引き締める意味でも、あえてそういう言葉を使わなければいけない場面もあるんです」

現在、徳田の会社に所属している職人は六人。時には自分より、年齢もキャリアも上の職人を使わなければいけない現場もある。そんな時ほど、普段以上に厳しい言葉で態度を示すことができなくては、現場で上に立って働くことはできなかったそうだ。

「同級生だった妻が、今では経理のほとんどをやってくれているのも助かっています。会社として動かすには、そういう仕事も必要ですから。責任ある立場だからこそ、自分で現場に立って、仕事で納得してもらう。品質に対するこだわりは誰よりも強いと思っています」

現場と人生。

徳田に、仕事のやりがいを聞いてみると、意外な答えが返ってきた。「……やりがいって、何でしょうね。考えたこともなかったです。自分の場合は、配筋検査というコンクリートを打つ前の構造検査で、プロの人に『綺麗にできてますね』と言ってもらえると嬉しい。造ったものに完璧な自信を持っているし、その評価が次の仕事にもつながってきますから」

——— あなたにとって『プロフェッショナル』とはなんですか?
「日常的に完璧を追い求める姿勢、ですか。少なくとも、そこを目指していますね」

キャラバンに乗るワケ

フロントから見た顔つき

「人と同じのは嫌だったんです。デザイン的にもキャラバンが好きでした。フロントから見た顔つきがいいですよね。現場にこの車で行くと「いい車だね」とよく声かけてもらってます」

広々とした運転スペース&安心のバックモニター

「運転席のフロントガラスが広いため、広々としていて左右までよく見えます。流れていく景色が美しく感じられる。荷室が満タンでも使えるバックモニターも便利です。運転するのが楽しくなるので、結局いつも自分で運転してしまいますね」

昼休憩時にもゆっくり眠れる後部座席

「後ろは本当に快適。座り心地の良いシートなので、昼休み休憩も車内で落ち着ける。愛妻弁当を持ってきて、車で食べることもあります。現場ではキャラバンが、そのまま憩いの空間になっていますね」

徳田直人 NAOTO TOKUDA
1981年8月19日生まれ(東京都江戸川区出身)
職種:鉄筋業
職歴:13年
会社名:株式会社徳田鉄筋

大きな改造を施さず、元々の広々とした荷室の空間に、職人全員分の電動工具を立体的に積み込む。上部にポールを設置することで、被り終えたヘルメットや手袋など、通気性が求められる道具をぶら下げておけるようになっている。

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