コミュニケ 1


6月12日水曜日 - 12時00分


52台の車輌が車輌検査を受けた。
3台目のクライスラー・オレカが既に参加取消しを表明していたため、BBAコンペティションのヴェンチュリー600LMがリザーブに繰り上がった。それ以外には大きな出来事もなく車検は終了した。

ドライバー編成

最後にいつくかの変更が見られた。
先ずジャンニ・モルビデッリが乗る予定になっていたフェラーリ333SP18号車には、同型車で'95年のIMSAチャンピオンとなったファーミン・ヴェレスがモルビデッリに代わってステアリングを握ることになった。フェラーリでのテストが出来なかったモルビデッリが、チーム・スカンディアの合意の上で、ヴェレスにシートを譲ることを希望したのである。
ジロワのマクラーレンにはブラジル人ドライバー、マウリシオ・サラの名が確認され、同様にミッシェル・フェルテのフェラーリF40 にニコラ・ルボワソティエが乗ることになった。負傷したニュージーランド人、オーエン・エヴァンスに代わり、ポルシェGT2 の83号車にはステファン・オルテリが乗り込むことになった。これによりオルテリは車輌を変更することになった。ファーマーとマーフィーはロバート・ナーンと組む。ナーンはコンストラクター、ケーターハムの息子である。ロック・レーシングには2つ変更があった。ドミニク・チャペルがラグニエスに代わってGT1に参加することになり、ドゥフォルニに代わってラルフ・ケレナスがGT2 クラスのマシンをドライブすることになった。
日本人ドライバーについていくつか詳細に触れると、先ず影山正彦(全日本GT選手権チャンピオン) は日産車に乗るが、弟の影山正美はトヨタ・スープラをドライブする。3人の鈴木には血縁関係はない。亜久里と利男はともに日産車に乗り、ゼイケルのポルシェをドライブする鈴木隆司は日本のポルシェ・クラブの代表のひとりである。紅一点、スイスのリリアン・ブルナーは残念ながらリザーブにまわっている。F1世界チャンピオンが2人参加しているのも注目される。マリオ・アンドレッティとネルソン・ピケで、ピケはル・マン初参加だ。珍しいところではクレマーから参加するアメリカ人、スティーブ・フォセットを挙げることが出来る。フォセットは“ルート・ドュ・ローム”にも参加している高いレベルのナビゲーターでもある。参加ドライバーのうち15人がル・マン24時間の優勝経験者である。D.ベルム(5回)、ペスカロロ(4回)、ダルマス(3回)、シュトゥック(2回)、ラマース、ウォレス、ディケンズ、ニールセン、コッブ、ワーウィック、エラリー、ブシュー、レトー、関谷(各1回)。

プロトタイプ

クレマー・ポルシェ:
FATカラーのK8の1号車はブシューが最近チェコスロバキアのモストでテストしたニューカーで、2号車はこれとカラーリングが異なる(ブルーにオレンジのライン)。そのカラーリングはガルフのそれを思わせるがこれはSTPのもの。このマシンは昨年6位に入賞したマシンである。カーボン製モノコックを持つこの2台は重量も数キロしか違わない同一のものである(新しいマシンの方が軽量)。また、クレマーは選用のエンジンを独自にチューンして来ている。

クラージュ・ポルシェ:
クラージュ・コンペティションからエントリーされているC36にはいくつかの変更が加えられており、4月のテストでは良い結果を得ている。新しいハブ・キャリア、これまでのものとは異なるフラットボトム、空力的にリファインされたロールバー。さらにウイングも低くされている。アラン・クラリンヴァルが3号車を監督し、キース・グリーンが4号車を見る。ラフィリエールのマシンにはこれまでのハブ・キャリアが装備されているが、これはペスカロロが冒険を嫌ったため。ペスカロロのチームは、その95%がピェール・ダヴォがチーム・マネージャーを務めるラフィリエール・チームのメンバーで構成されている。エンジニア、リシャール・ディヴィラは2つのクラージュ・チームの面倒を見るが、両チームはセッティングについては緊密に協力し合っている。注目すべきはクラージュが、ポルシェの協力を得ながら3台のC36のエンジンを独自にチューンしている点だ。

TWR ポルシェ:
7号車(モービル1カラー)は1995年にデイトナでテストしたマシンで、FATカラーの8号車は4月の予備予選でデビューしたマシン。この後ペンスケのダンパーはファイファーのものに交換されている。燃料供給システムとウイングがモディファイされている。エンジンはポルシェ・ワークスのもの。5速ギアボックスもポルシェ962 のものを流用しているが、新しいサスペンションを装備出来るようハウジングがモディファイされている。カーボン製のシャシーはイギリスのTWRがジャガー、次いでマツダのために制作したもので、その後ポルシェが2台を買い取った。

デボラ・フォード:
デボラLMP296はフォーシュサトーがチューンしたコスワース4気筒ターボ・エンジンを搭載しているが、リヨンを本拠地とするこのチューナーは予備予選以後チューンの見直しが行なわれている。さらにロールバーが空力的にリファインされ、ギアボックスのオイルクーラーが追加されている。デボラはプーリー・アン・オクソワで80ラップのテストを行っているが何らトラブルは発生していない。それでもディディエ・ボネは慎重である。「他に比べて我々のポテンシャルがどの程度のものなのか良く分からない。予選時にマシンのセッティングを行うつもりだが、我々の目標はLMP2で優勝することではなく、完走することだ」。

WRプジョー:
トリニイに在るこのコンストラクターは、とくにエンジンに力を入れて作業を進めて来た。これは新しいエアリストリクターの装着によって失ったエンジン・パワーを取り戻すためである。ジェラール・ヴェルテールは、2リッター380馬力のエンジンで、WRが95年に記録したタイムに近づくことは可能だと考えている。「我々はこのエンジンを2年前にテストしてうまく行かなかったが、それからモデファイしている。決勝レースについては信頼性の高い1950ccに戻すつもりだ」。ウイリアム・ダビッドはリザーブに回っているが、予選で良いところを見せるべくアタックするつもりだが、パトリック・ゴニンはより慎重だ。「今年、ポールポジションは我々のものではない。我々は守りの作戦をとるつもりだ」。

マツダ:
LMP2にエントリーしているクッズ・マツダDLM007(クッズの7番目のマシン)はジム・ダウイングがマツダ・スピードのパーツを使ってチューンした3ローター・エンジンを搭載している。最大出力は365馬力。シャシーにはハミカム材が使用されており、ブレーキはカーボン製(LMP2に認められるようになった)。ギアボックスはマーチ製をベースにしたジアラスの6速。しかし95年仕様と比較して特に目を引くのは軽量化だ(100kg軽くなっている)。非常に国際的なこのチームの55人のスタッフのうち3分の2は日本人で、ジャッキー・イクスがアドバイザーを務める。

フェラーリ:
2台の333SPはトニー・サウスゲートがダラーラの風洞を使って開発した“ル・マン”様のボディカウルを備えている。“耐久”仕様のエンジンはワークス・チューン。タイヤはピレリ(予選では非常に高いパフォーマンスを見せると思われる)で、ブレーキはWSC 規定に従ったスチール製。ベルギーの数多くのエンスージアストの寄付を受けて参加する17号車は、100周年を祝うRACBカラーを纏っている。

リレイ&スコット:
デイトナとセブリングを制した栄光の004 は、予備予選以来大きなモディファイは行われていない。このマシンはチューブラー・シャシーにカーボン・ケブラー製ボディカウルを被せ、カッチ・チューンのオールズモビル4リッターV8エンジンを搭載する。ビル・リレイ(息子)が父親ボブとマーク・スコットの監視のもと、チーム・マネージャーを務める。

LM GT1

ニスモ:
日産スカイラインをベースにしたニスモGT-R LM は1995年仕様からいくつかのモディファイが行われている。ドライサンプ方式に改められたエンジンは位置を下げ、後退してマウントされている。排気量も2.8リッターに拡大された(ツイン・ターボは変わらず)。エアロダイナミックはリファインされ、ギアボックスは日産内製の6速とされた(前仕様はXトラック製)。23号車には星野一義、長谷見昌弘、鈴木利男と日本を代表するドライバー3人が乗り込んでいる。

ポルシェ:
2台の911GT1は車検でひと際目を引いた。4月の予備予選の時点と比較して目に見える変更点はオーバーフェンダーが追加されたことのみだ。「ギアボックスのトラブルを解決する目的でポールリカールでテストを行った。現在はすべてOKだ。」と語るのはユルゲン・バルトだ。タイヤに関しては最終的にミシュランが選ばれた。3.2リッター・ツインターボ・エンジンはミドシップに搭載されている。モノコックは量産の911 のものを使用しているが、後部が切断されている。ボデイカウルはカーボン・ケブラー製のものが装着されている。911GT2エボルーション(ロックおよびコンラッド)の方は、今シーズン見られているエンジン・トラブルを避けるために潤滑システムがモディファイされている。それにもかかわらず、ジャン=リュック・シェロは自身のGT1 カーのエンジンに、GT2 用のエンジンを選んでいる。「我々の目標は完走することだ。楽に走り、午前零時より前にはモニターの総合順位には顔を出さないだろう」と語った。

リスター:
ジェフ・キングストン(もとマクラーレン・ガルフ)はリスターに、昨年の仕様に根本的なモディファイを加えている。「エンジンを後退させ、ヒューランドTGT ギアボックスを前から後ろへ移動させ、フロントに大型のタイヤを装着した。ブレーキはカーボン製のディスクとし、1100kgまで落とすことが出来た」。その外観とは異なり実際には大幅な変更が成されている。ジャガーの7リッターV12エンジンはTWRでチューンされている。

マクラーレン:
ル・マンの準備のためにワークスがポールリカールでテストした他、バルセロナでもテストが行われた。これらのテスト時に発生したトラブルをもとに、新しいパーツが開発された。ジェフ・ヘイゼルは次のように語った。「我々は冷却システム、照明装置、トランスミッション・アッセンブリー、ブレーキの冷却について改善し、燃料タンクにリザーブタンクを追加した。エアロダイナミックについてはマシン側面について多くの研究を行い、ルーフ上のエアインテークも前進させた。またギアボックスの信頼性を向上させた。これは96年仕様のマグネシウム製のハウジングがギアの磨耗を早めることがわかったからだ。バッテリーはより大型のものに、またクラッチはより強度の高いものに交換した。車重はル・マン仕様で1035kgで、エアリストリクターの拘束の緩い1050kgに合わせるために15kgのバラストを積んでいる」。国際開発(ジロワ)とビガッジがほとんどすべてこのモディファイを受けているが、デビッド・プライス(ハロッズとウエスト)は控えめで、ガルフ・レーシングはそれ以上である。

フェラーリ:
目新しいのはイゴル・カラーの2台のF40GTEで、排気量が3.5から3.6リッターに拡大されている。この2台はカーボン・ブレーキとXトラック製の6速シーケンシャル・ギアボックスを備えている。3.5リッター・エンジンのF40GTE59号車(ユーロチームによるチューン)とパイロット・レーシングのマシンはフェラーリ製の従来型5速ギアボックスとスチール製ブレーキのままだ。エンネア・チームの技術部門の責任者、ルイジ・デインドは、フェラーリでの手堅いレースを語っている。「我々はマクラーレンとポルシェにトップ争いをさせておく。夜が来て、チャンスがあればプッシュするつもりだ」。

サード:
加藤真のサードMC8Rは1年間で230kgも軽量化している。「シャシーで大幅な軽量化を果たしているが、前から後ろに移動したトランスミッションと潤滑システムも軽くなっている」と加藤。「フロント・トレッドを拡大し、ギアボックスをヒューランド製からマーチの5速に変更している」。エンジンに大幅な変更はなく、最高出力は580馬力と発表されている。パスカル・ファーブルが最近スネッタートンでテストしており、マシンのバランスの良さに満足していた。

トヨタ:
エントリーはサードから行われているが、トヨタ・スープラLMはTRD(トヨタ・レーシング・デベロップメント)でチューンされており、ワークス・マシンと見ることが出来よう。現場でのTRDの代表者である佐藤直樹は95年モデルとの違いを次のように説明した。「とくにサスペンション・ジオメトリーとエアロダイナミックをモディファイしている。フロントとリアのスポイラーはより曲線的になっている。車輌重量については1250から1150kgまで軽量化している」。

クライスラー:
2つのチームが走らせるヴァイパーはポールリカールでテストし、改良されている。開発部門代表のエンジニア、ジーン・マルタンダルは次のように説明している。「我々2つのワークス・チーム同士で情報の交換を行っている。ギアボックスの信頼性を高め、ブレーキの冷却を改善し、ウイングをモディファイした」。オレカのマシンにはエアインテークが追加されている。フィリップ・ルル(もとAGS 、ラルースおよびラルブル)はACOとの交渉と後方支援を担当する。エンジンはカリフォルニアに本拠を構え、クライスラーが主要クライアントであるジョン・コールドウエルによってチューンされている。コールドウエルは日産への仕事で名を残している。1994年にル・マンにやって来た日産300ZX のエンジンをチューンしたのが彼なのである。

ルノー:
予備予選以来、スパイダーはマルク・スール、ステファン・ダウディさらにリオネル・ロベールの手によってセッティングが進められた。パトリック・ルジェイとともにこのマシンのプロモーターを務めるジャン=ミッシェル・ロイは、ルノーが予選で本当のポテンシャルを発揮することを期待している。

ヴェンチュリ:
BBAコンペティションからエントリーされているローラン・ルキュイエールの600LMの登場は、車検場の予期せぬ出来事だった。ノエル・デル・ベロが監督する。

LM GT2

ポルシェ:
8台の911GT2は、自身でエンジンをチューンしているハーバーサーのマシンを除いてすべてワークス・チューンのエンジンを搭載している。ラルブル・コンペティションのマシンはかつてのGT1マシン(もとジャリエ/コマス/パレハがドライブした)をGT2 に変更したもので、軽く、剛性の高いモノコックを持っている。アングロ・ニュージーランド・チーム、パール・モータースポーツによりエントリーされている83号車はピーター・ゼイケルからレンタルされたマシンだ。ビル・ファーマーのチームの2台のマシンには、30年前にレースを制したニュージーランド人、クリス・エイモンとブルース・マクラーレンの名が飾られている。

キャラウエイ:
アグスタ・レーシング・チームのコルベットに大幅な変更はない。リーブス・キャラウエイはそれでも燃費を向上させるためにエンジンに手を加えている。さらに、より“レース”らしい動きを得るためにサスペンションが固められている。

マーコス:
マーコス・マンタラ600LM はシボレー・エンジンを搭載するが、その排気量はキャラウエイのものとは異なる。チューンはイギリスのNCK(グラハム・ナッシュ) によって行われている。マシンはBPRシリーズに参加しているオランダのチーム、“マーコス・レーシング・インターナショナル”で知られているが、ル・マンにはワークスからエントリーされている。チームの中心人物(代表コー・オイサーとチーム・マネージャーのイエレ・ド・クライン)とともに、ジェム・マーシュ(同メーカー創立者)と、順調にビジネスの世界を行くその息子クリス、これを経験豊富なロイ・バーカーがサポートする。

ホンダ:
チーム国光からエントリーされているこのNSX は、昨年GT2 を制したモデルを進化させたマシンである。ドライバーシートが右に変更されたことが最大の変更点だ。エンジンは自然吸気V6で、量産のNSX と同様横置きにマウントされている。