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プレミアム・ミッドシップパッケージ
マルチパフォーマンス・スーパーカー
どんなに高出力であろうと、どんなに高度なメカニズムを持っていようと、クルマの性能とはタイヤがいかに路面をグリップするかによって決定される。
GT-Rのプレミアム・ミッドシップパッケージの開発は、この物理の原理・原則を真っ正面から見つめることから始まった。
GT-Rが目指したのは、「誰でも、どこでも、どんな時でも」常に感動的な超高性能を愉しめる走りである。サーキットでも、高速道路でも。
雨や雪の道でも、混んだ街中でも。路面を問わず、ドライバーも選ばない。
そのためには異次元のタイヤグリップ力が必要になる。
そんな歴史上存在したことのないマルチパフォーマンスの感動を創造するためには、まったく新しい発想が求められた。
極論を言えば、宇宙とは重力である。重量(質量)が重力(引力)を創り出し、重力と重量のバランスの中で地球のあらゆるものは存在している。
しかし、この重力という膨大なエネルギーを、走りに活かし切ってつくられたクルマは過去に存在しない。GT-Rのプレミアム・ミッドシップパッケージとは、マルチパフォーマンスを実現するために、この重力というエネルギー、言い換えればクルマの重量をタイヤのグリップ力の活かし切る設計思想である。
そしてそのために、従来にない開発手法を導入した。
❶まず、リヤタイヤのグリップ力を決める…
リヤリヤタイヤに大きな荷重をかけるために、トランスミッションという重量物を後部に配置する。
❷フロントタイヤのグリップ力を決める…
限界域までニュートラルステアを保ち、ブレーキング時の車体姿勢をフラットに保つ。
❸エンジンの重量と重心位置を決める…
前後の最適重量バランスと低重心化を徹底する。
❹エンジンの仕様、搭載位置を最後に決める…
コンパクトなV6ツインターボをフロントミッドシップに搭載する。
マルチパフォーマンス・スーパーカー
GT-Rは、エンジンをフロントミッドシップに配置し、トランスミッションを後部に搭載する、トランスアクスル方式の4WDを採用している。
しかし、クルマとは、さまざまな振動体の集合物である。エンジンからトランスミッションまでをプロペラシャフトでつなぐこの方式では、それぞれの振動が干渉し合ってしまう。そのために、GT-Rはそれぞれを切り離した上、インシュレーターを介してマウントする独立型とした。
リヤのトランスミッションは徹底して偏平化することで、その重心位置がホイールセンターよりも下になるように設計されている。
さらに、ボディの振動を、エンジンやトランスミッションの重量を活かして打ち消し合うように設計。つまり、ボディダンパーとして機能するようにマウントを周波数チューニングするのである。
ただし、このチューニングを最適に行うためには、神業的な技術と感性が必要であり、どのメーカーでもできるというものではない。
マルチパフォーマンス・スーパーカー
プレミアム・ミッドシップパッケージが使う自然の力は重力だけではない。それは空気の力、空力である。GT-Rの空力は、大きく分けて2種類の性能を追求している。ひとつは効果的なダウンフォースを発生させてスタビリティを高めること。
もうひとつは、エンジンやトランスミッション、ブレーキなどの冷却である。
左の空気の流れを見ていただきたい。GT-Rはアンダーカバーの上を冷却のため、下はダウンフォースを発生させるため、2つの空気の流れをつくっている。
また、フロントグリルから入るエンジンの冷却風は、ホイールハウスから強力に吸い出される。その量は、入る分よりも吸い出す方が多い。
そのため、エンジンルーム内が負圧になり、Cd値(空気抵抗係数=0.26)を増やすことなく、ダウンフォースを発生する。
ダウンフォースと冷却と空気抵抗、そのどれかではなく、すべてを両立させるのがプレミアム・ミッドシップパッケージの空力なのである。

マルチパフォーマンス・スーパーカー
カーボンには、カーボンのメリットとデメリットがある。
アルミやスチールにも、同様にメリットとデメリットがある。
フルアルミやフルカーボンといえば先進的なイメージを持つ人も多いと思うが、GT-Rはそれがベストの解とは考えない。
GT-Rは、かつてなかった「カーボン・アルミダイキャスト・スチール」という3種の材料を最適に組み合わせることにより、スーパーカーの操縦安定性とスポーツクーペの乗り心地、本格SUVを超える駆動力をミドルクラスのボディ重量で実現する超高性能ボディを開発した。
リヤサスペンションメンバーの立体強度部材化、アルミダイキャスト製ドアインナーの採用により、衝突時の変形量を低減し衝突安全性を向上。
また、フロントストラットハウジングのアルミダイキャスト化、フロントサスペンションメンバーのボディスタビライザーとしての使用、および結合効率の向上により、高剛性かつ軽量なボディを実現した。
さらに、スピーカー取付部をアルミダイキャスト化したことにより、クリアかつダイナミックな低音のスーパーカーサウンドを実現している。