郊外のMY SWEET HOMEは、女性を「専業主婦」という名の
シャドー・ワーカー*として
、社会から隔離するための巧妙な装置であった。彼女らが、MY SWEET HOMEを実質的
にまもり、そこに投資し、そこで消費を行ってきたのである。彼女らこそMY SWEET H
OMEの美学の担い手であり、推進者であったのである。
二十世紀の末に至って、美学の根底にあるこの社会的な下部構造がまず揺らぎはじめ
た。女性が社会進出を望み始めたのである。そしてこれは資本の側からの要請でもあ
った。長い間「郊外」に眠っていた優秀にしてかつ男性労働力よりも安価な女性労働
力を資本もまた必要としはじめたのである。
*シャドー・ワーカー=金銭報酬をともなわない労働に従事する労働者。
| 「二項対立の終焉」『建築的欲望の終焉』新曜社より |