REFERENCE



Opinion-3
「郊外の夢」

MY SWEET HOME幻想の終焉
自然に囲まれたMY SWEET HOMEを万人が持つとい幻想は、二十世紀初頭のアメリカで は多少のリアリティーを持ち得たかもしれないが、「自然」も「土地」も有限である ことが明白になった今日においては、ほとんど説得力を持たなくなってきた。
交通問題の悪化も「郊外」の没落に拍車をかけることになった。「自然の中」から都 心部へ通勤するという移動の形態自体が、現代の巨大都市のスケールとアクティヴィ ティーに、フィットしない。そのことが交通問題の悪化を通じて明らかになったわけ である。このようにして、人々は次第に「郊外」の夢からさめ、「郊外」の美学から 開放されはじめたのである。

郊外のMY SWEET HOMEは、女性を「専業主婦」という名の シャドー・ワーカー*として 、社会から隔離するための巧妙な装置であった。彼女らが、MY SWEET HOMEを実質的 にまもり、そこに投資し、そこで消費を行ってきたのである。彼女らこそMY SWEET H OMEの美学の担い手であり、推進者であったのである。
二十世紀の末に至って、美学の根底にあるこの社会的な下部構造がまず揺らぎはじめ た。女性が社会進出を望み始めたのである。そしてこれは資本の側からの要請でもあ った。長い間「郊外」に眠っていた優秀にしてかつ男性労働力よりも安価な女性労働 力を資本もまた必要としはじめたのである。

*シャドー・ワーカー=金銭報酬をともなわない労働に従事する労働者。

「二項対立の終焉」『建築的欲望の終焉』新曜社より



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