昭和育ちのアナタに贈る 鼻唄みたいな情報マガジン

Ave. Mag. アベマグ

『Ave.Mag.(アベマグ)』は、TOKYO FMほか全国37局ネットで放送しているラジオドラマ『NISSAN あ、安部礼司』がお届けする、30代以上の男性ビジネスマンのための情報マガジンです。

毎月第一日曜日 更新

Copyright © TOKYO FM Broadcasting Co., Ltd. All rights reserved.
NISSAN あ、安部礼司 BEYOND THE AVERAGE

『NISSAN あ、安部礼司』とは?

毎週日曜日 夕方5時〜 TOKYO FMほか37局ネット 絶賛放送中!

ネットサーフィンやメールチェックは好きだけど、読書はイマイチ興味がない。そんなビジネスパーソンのために、元芸者・現丸顔のライターが「通勤中にさくっと楽しめる本」をご紹介。ホンの一冊ぐらい、だまされたと思って手に取ってみるのも悪くない。読書好きになって出版不況を救うのは……あなたかもしれません!

今月、なに読む? Vol. 6

『ジェノサイド』
『リーダーの値打ち 日本ではなぜバカだけが出世するのか?』
『私が世界No.1セールスマンになるためにやった50のこと』

今月、なに読む? 一覧を見る

ひとつの職業を長く続けた人の言葉は、シンプルに見えてすごく深く感じられることがあると思います。

芸者をしていた頃の置屋のお母さんも私にいくつもの「名言」をくれた人でした。お母さんはその頃、恐らく60代後半。以前は銀座でホステスをしていたようですが、小さい頃から習っていた三味線の腕を生かして向島で仕事を始めた人でした。そのお母さんに何のときだったか「男の人の薄情さには気をつけなさい」と言われたことがあります。「優しく見えても男の人は結局、自分の体面を大切にする。情に弱いのは女性だけ」というような内容だったと思います。

似たようなことを、これも60代ぐらいのお客さんからも言われたことがあります。その人が言ったのはこんなことでした。「女性の嫉妬は怖いってよく言うけれど、本当に怖いのは男の嫉妬だよ。女性の嫉妬はすぐ表に出るからかわいいもの。男が嫉妬すると、誰にも気付かれないように足を引っ張ろうとするから怖いんだよ」。

お母さんやお客さんの言葉から私が感じたのは、男社会の厳しさです。情に流されないのも、嫉妬を表に出さないのも、それだけドライでなければやっていけない世界の厳しさを感じます。「男社会」という言葉自体が今では古くさいものになっていると思いますが、置屋のお母さんたちの世代の人にとっては、「社会の厳しさ」とはイコール「男社会の厳しさ」だったのだろうなあ……などと想像します。

そんなわけで、今回ご紹介するのは「男社会」にちなんだ三冊。

一冊目は『ジェノサイド』。「このミステリーがすごい!2012年版」国内編で第1位の話題本です。某国首脳陣の集まる執務室から物語はスタート。その後、病気の息子を持つアメリカ人傭兵と、急死した父から謎のメッセージを受け取った日本人大学院生のストーリーが交互に展開していきます。どちらも事態のわからぬままに大きな闇と対峙することになるわけなのですが、主要登場人物はほぼ男性。そして、某国の執務室も、傭兵の組むチームも、大学院生のネットワークも、根底にあるのは男社会のルール。

相当下調べが必要だったのではないかと思われる傭兵部隊の描写や薬学知識など、細かなリアリティの積み重ねが壮大なストーリーを盛り上げます。読み終えてお腹いっぱいになること間違いナシの一冊。歯ごたえのあるエンタメが読みたい方はぜひ!

二冊目は『リーダーの値打ち』。カリスマブロガーである“切り込み隊長”(http://kirik.tea-nifty.com/)の一冊。独特なブログの文体は多少マイルドになっていますが、やっぱり鋭い分析力。この方の文章を読んでいると、なんだか自分の頭の回転が良くなるような気がします(もちろん気がするだけなんですけどね)。「日本ではなぜバカだけが出世するのか?」というサブタイトルも目を惹きます。勝手なことを言いますが、愛せる毒舌と愛せない毒舌の違いは、細かい部分への観察が行き届いているかどうかではないかと思います。著者は、男社会の細部まで観察し尽くしている人なのだろうなあと。

三冊目は『私が世界No.1セールスマンになるためにやった50のこと』。著者は、某企業の営業として、売上高世界ランキング1位となった経歴の持ち主。この営業部隊のエピソードがすごくて、全寮制で集団生活、「毎日、起床するなり全員で5~10キロ走る」というガチ体育会系。「生き残るのは屈強な男たちだけ」だったそう。18歳の大学在学中から仕事を始め、その後、複数の業種を経て、現在はコンサル業という経験値に裏付けされた「50のこと」。いくつかは必ず心にヒットするものがあるはず。

冒頭の嫉妬の話をしてくれたお客さんもそうですが、通説通りのことを知った顔をして話す人より、自分の経験でものを語れる人の方がモテますよね。

ということで、今回はこのへんで。また次回、よろしくお願いします。

(小川たまか/プレスラボ)

『ジェノサイド』
(高野和明/角川書店)

『リーダーの値打ち
日本ではなぜバカだけが出世するのか?』

(山本一郎/アスキー新書)

『私が世界No.1セールスマンになるために
やった50のこと』

(甲斐輝彦/大和書房)

小川たまか (おがわ たまか)

立教大学大学院で江戸文学を専攻。在学中に向島で芸者を始め、お客さんから男社会の窮屈さと面白さ、芸者衆のお姉さんから女社会の厳しさを教えられる。お座敷でお客さんに「最近読んだ本」の話をすると面白がられ、これがライターを目指すきっかけの一つに。現在、編集プロダクション・プレスラボ取締役。趣味は俳句、好きな本のジャンルは洒落本、好きな色は若草色。最近の悩みは年々、丸顔に拍車がかかっていること。

今年は映画をたくさん見ようと思っています。先日『ヒミズ』を見ました。二階堂ふみさんが大好きです。

ラジオ番組『NISSAN あ、安部礼司』
毎週日曜日 夕方5時からTOKYO FMほか全国37局ネットで絶賛放送中!

番組オフィシャルサイトはコチラから