Mechanism

エンジンは25PSのB型を搭載

エンジン FRPのボンネットフードの中に収まったエンジンは、DC-3同様、25PSを生み出す、直列水冷サイドバルブ4気筒860ccのB型エンジンが搭載された。前進4段のトランスミッションには2、3、4速にシンクロメッシュが与えられ、サスペンションは前後ともリーフスプリングを採用したリジット懸架。牽牛性に富む構成になっている。スペックシートには最高速度85km/hと記されていた。

Prototype

実用性も視野に入れた58年のプロトタイプ

市販を前提としたダットサンスポーツの試作車は、1958年10月に59年モデルとして5回目を迎えた日本自動車ショーで発表された。後楽園球場で開催されたショーでも注目を集めたのは言うまでももなく、東海道線にノーズの伸びた特徴的なスタイルを持つ特急こだまの運行が始まったこともあり、生活のなかにスピードが浸透し始めた時期でもあった。

2作目のプロトモデルは、基本的なシルエットを57年式から踏襲するものの実用性を確保するための改良が施された。中でも乗車定員を2名から4名とするために室内空間を拡大、パワーユニットを860ccB型から、水冷OHV4気筒・988ccのC型エンジンへの変更するなど、速度への拘りも感じられる。最高速度も115km/hへと大幅に向上した。
  インパネ このプロトタイプの製作には初代ダットサンスポーツの設計者、太田祐一氏が大いに手腕をふるった。氏は、日産自動車専属の試作工場として、58年に現在の南品川にアルファー・モータースを設立。その工場でダットサンスポーツの58年発表のプロトタイプを製作している。
発表されたボディーはホワイトとレッドに塗り分けられ、細かい部分に意匠変更が加わえられていた。ターンシグナルランプの位置、テールランプ形状、フォグランプの追加などで、まさに市販に向けた秒読みが聞こえてきそうな仕上がりを感じさせるものだった。 そして、ついに58年のプロトタイプ発表から8カ月。1959年6月4日、ダットサンスポーツS211は発売を開始した。
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