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くるまあるき賛成派 第12回
みうらじゅんさん:後編
外国人と同じ気分で
 日本中を歩く、観光日本人。

  みうらじゅん
1958年京都生まれ。
武蔵野美術大学在学中「ガロ」で漫画家デビュー。講談社ちばてつや賞受賞。
イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャン、プロデュース業など多方面で活躍。
独特の切り口によるコレクション「カスハガ」「いやげ物」などを世に問い、「マイブーム」という造語が97年度日本流行語大賞に選ばれる。主な著書に「マイブームの魂」「見仏記」「日本崖っぷち大賞 」など。音楽CDも多数発表し、2001年にベスト盤「青春ノイローゼ」をリリース。
いとうせいこう氏との恒例トークライブ「ザ・スライドショー」も好評で、ライブの模様を収めたDVD「コンプリートボックス」を10月11日に発売した。

お待たせしました、みうらじゅんさんの後編です。文中の(笑)マークは、実際はもっとたくさんつけるべきだったのですが、たぶん(笑)だらけになってしまうので、少々割愛! ふだんのテレビ出演では聞くことのできない、ご自身についてのマジメなお話をメインに、まとめさせていただきました。


聞き手: このサイト内で泉麻人さんが「裏街道を行く」というページを連載なさっているんですが、飛騨高山の回で「飛び出し小僧」というキャラクターについて触れていらっしゃいます。それも、みうらさんのネーミングだそうで。
みうらさん: そうなんですよ。
聞き手: クルマのドライバーに、子供の飛び出し注意を促す看板ですね。
みうらさん: たぶんオリジナルがあるんだろうけど、それをいろいろな人がお手本にしてつくっていくうちに、顔がぐしゃぐしゃになったり、ポーズがどんどん変わってしまったり(笑)。
聞き手: いろんなタイプがあるわけですね?
みうらさん: 伝来ミスのおもしろさですね。本来はサッカーボールを追いかけてたはずが、ボールが省略されて、単に道路に突っ込んでいこうとしてるやつとか。
聞き手: あはは。
   
 
  泉麻人さんが飛騨高山で発見
   
 
  くるまあるきスタッフが都内で発見
   
みうらさん: 元々あった野球帽のつばを、リーゼントのような髪型に解釈してしまったようなやつもありました。帽子が風で飛んだやつ。もはや帽子そのものを、かぶってないやつとか。あちこちで写真を撮りましたが、特に滋賀県に多いみたいなんですよ。琵琶湖の回りの道路を走ると、ひんぱんに見かけます。
聞き手: なんだか琵琶湖畔を、それだけのために走ってみたくなりますね。
みうらさん: 何せ背中が湖ですから、前に飛び出していくしかない立地条件から子供の飛び出しが多いんじゃないかと思うんですよ。
聞き手: ああ、なるほど。
みうらさん: タクシーで回ったんですけど、看板が現れるたびに運転手に「停めてください停めてください」とお願いして、しばらく待ってもらって。もう、なんというか不審人物(笑)。クルマの免許とって、気がねなく琵琶湖を1周するのが夢ですね。
聞き手: 琶湖琵そのものじゃなくて、飛び出し小僧が目的というところが、なんかいいですね。
みうらさん: 「はなまるマーケット」という番組でもらった電動アシスト自転車も便利に使わせてもらってるんですけど、あれは電池切れがこわい。ある時点で急に、普通の自転車以上に重くなりますからね。
聞き手: はなまるマーケットで?
みうらさん: マイブームのひとつに崖ブームというのがありまして、「いい崖だしているツアー」というのを、番組のコーナーとしてやってもらったことがあるんですよ。ワンボックスに乗って日本海を新潟県から山口県まで走り、理想の崖に立つという企画(笑)。
聞き手: 山でも海でもなく、崖! これも、さすがにガイドブックは無さそうですね。みうらさんおすすめの崖を、ぜひ写真でご紹介いただけますか?
みうらさん: あ、いいですよ。

MINIいい崖出しているツアー


■写真をクリックすると、大きなサイズでご覧いただけます■


いい崖出しているツアー
[ワンボックスを用意して]

TBSの朝番組「はなまるマーケット」が用意してくれたワンボックスカー。これに乗って、日本海に崖探しの旅に出たわけ。当時、シリーズとしてオンエアされたので、日本全国の奥様のハートもゲットしたはず。ヤッくんには呆れられたみたいだけどね(笑)。

ヤセの断崖
[みうらさんの理想崖]
場所:石川県富来町笹波

自分の崖ブームの原点は、大好きな松本清張の小説「ゼロの焦点」にある。最後にヒロインが身を投げたのが、能登半島にあるヤセの断崖と呼ばれるこの崖なのだ。いい崖の条件を満たしている、まさしく理想の崖だね。


いい崖大賞?
[浴衣姿でカメラを]
場所:石川県富来町笹波

着物の背中に「崖」って文字が見えるでしょ。オレ、このロケでは「崖先生」と呼ばれてたから(笑)。日本各地の崖をめぐって、立ち心地・切なさ・角度(デカイ分度器を持って崖の迫り具合を調べるわけよ)で、やっぱ一番グッときた崖は能登半島の「ヤセの断崖」という崖に決定したわけ。いい崖出しているツアーは、今も続いているんだけどね(笑)。

*写真はすべて、みうら氏のコレクションからお借りしたものです。

みうらさん: 崖もそうなんですが、自分の場合、好きな事は高校の時にすでに決まってたりしますね。それからずっと宿便みたいに残っていて(笑)。あとは、大人になってからのアレンジです。文字通りの崖が、あるとき急に「崖っぷち」という言葉に結びついて、そこから別の展開になっていったりもしました。
聞き手: 週刊誌の連載で、有名人の中から「崖っぷち大賞」を選考なさってたりしますよね。あれも、崖ブームのアレンジなんですね。
みうらさん: 崖っぷちまで行かないと、わからない事があると思うんですよ。例えば‥‥ストーンズのバックストリートガールって曲が、NHKの朝の番組でかかってたらしいんです。美を極める、みたいなマジメな番組で、陶芸家が語っているバックで流れていたというんです。バロック調のきれいな曲なんだけど、歌詞は「お前は娼婦でいてくれ」みたいな(笑)。
聞き手: それ、すごい。音の印象だけで選曲しちゃったんでしょうか。
   
 
みうらさん: 「お前は、あくまで外の女でいてくれ」とかいう、ギリギリの歌。ろくろ回しながら(笑)。原稿になったらマズイようなフレーズもあります。
聞き手: それを朝のNHKで(笑)。
みうらさん: 日本のロックって「俺たちは○○○○だゼ!」ってカッコつけてるけど、ぜんぜんヤバくないでしょ。自分自身を何も暴露してない。ストーンズにしてもボブ・ディランにしても、それをずっとやってきてるんです。だから、カッコイイ。
聞き手: 崖っぷちに立って歌っているわけですね。
みうらさん: そういう自分も、「○○○○なんや!」って勢いの歌を作って、どこかごまかしていたんだけど、それじゃダメだと気がついたんですよ。「ロックンロールは暴露や!」って事なんだと。それで、実際にかなりのとこまでやってみたんだけど、崖のギリギリまで行くと怖くなって帰ってきたりする。いい花は、崖っぷちに咲いてたりするんですけどね。
聞き手: それ、わかるような気がします。「崖っぷち大賞」って、単にその対象を笑ってるだけじゃないですよね。
みうらさん: 自分の場合、田舎から東京に出てきた人間だから、ネタ元が「自分」だけだったんです。そういう意味では、すこしだけ崖っぷちだったかな。自分を切り刻んで提供していかないと、みんな見てくれない。自分に硝酸かけてみるような実験を、これまでやってきたのかもしれないですね。本当はボーっとしてるの好きなんだけど、どうもそういう方向に行ってないような気がします。
聞き手: サービス精神がありすぎる?
みうらさん: たしかにサービス精神あるなあ(笑)。嵐山光三郎さんみたいに温泉入ったり、泉麻人さんみたいなマイペースな感じ、いいですよね。泉さんはやっぱり東京の人で、がつがつしてないところがうらやましい。どこでも屁こくし(笑)。原稿のイメージと違うんですよ。自分は、原稿とほとんど同じ。
聞き手: そのまんま、マイブームの人ですよね。みうらさんって、興味の対象が変わるようにご本人もどんどん変わっていってるんでしょうか?
みうらさん: いや、それはないと思いますね。小学校の頃からヘンな看板が好きだったし、やってることはぜんぜん変わってない。ある事に対して、だいたい4年間くらい写真撮りにまわったりすると、ひとつの答みたいなものがわかる。そうすると、それについては一応終わる。でも、対象が変わっても気分は同じですからね。「とんまつり」も「カスハガ」に写ってた祭りがきっかけでした。急に何か始まるわけじゃなくて、枝分かれというかリレーみたいなものなんです。
聞き手: もしかして、自分探し?
みうらさん: 自分探し、かっこええなあ(笑)。でも、その言葉は似合わないし、ちがうと思います。あえて言うなら、日本に観光に来ている外国人みたいな気分でしょうね。観光外人じゃなくて、観光日本人。
聞き手: あ、なるほど、カメラ持って観光気分‥‥に近いものがあるんですね。
みうらさん: そうなんです。例えば、池玲子の古いポスターから感じるのは‥‥「エッチ」みたいなものもたしかにありますけど、いちばん気になるのは日本独特のヘンな構図の部分なんです。それと、日本の怪獣は着ぐるみでしょ。あのルーツは、歌舞伎なんだと気づいてみたり。外国の怪獣はコマ撮りが基本ですが、日本は着ぐるみ文化なんです。そういう独特な部分に、惹かれていく。
   
 
   
聞き手: 観光客の気分ということは、イコール好きなように生きているという事でしょうか? 好きなものだけ求めて歩くような。
みうらさん: それも、ちょっと違うかもしれないですね。好き嫌いとちがうとこで動いてる。趣味とは言えないところがあるんですね。仕事になっていますし。もともとは、祭り好きじゃないんですよ。
聞き手: え!? そうなんですか?
みうらさん: 生まれが京都だから祇園祭にも行ったけど、その頃は彼女もいないし、普通に楽しめなかった。「いやげ物」も、もらってもうれしくない。だからこそ「いやげ物」なんですけどね(笑)。だけど、それがどんどん集まってくると、好きにならなきゃしょうがない。おもしろがる。
聞き手: そのうち、本当に好きになってくる?
みうらさん: 無理やり好きになったものは、長いあいだ好きでいられるんです。瞬時に好きになったものは、意外と飽きてしまいますね。
聞き手: 革新的な人ではないのでしょうか。世の中的には、そう思われているふしもありそうですが。
みうらさん: ひとつも革新的ではないと思いますよ。好きになったもの、例えばコレクションみたいなものを捨てて次に進むわけではなくて、寝かせていたワインみたいに、いい感じになったときに出してきて(笑)、ひとりでうれしくなったりします。流行じゃなくて、ほぼ普遍なものが好きなのかもしれない。「とんまつり」にしても「仏像」にしても、例えば50年後でも、変わりはないはず。基本的に、本当の意味での新ネタって、ないんですよ。
聞き手: この部屋を見ると、たしかにそうですね。ある意味、一貫しているというか。置いてあるギターケースも、違和感がない。
みうらさん: 以前、ボブ・ディランのマネージャーに「あなたは何をやってる人なんだ?」って聞かれたことがあって、仕事を細かく説明したんですよ。イラストや原稿を書いたり、音楽やったりって。そうしたら、「よくわかった。で、本業は?」と‥‥。
   
 
   
聞き手: あはは、外国人にはわからない。今回も、スライド上映にハワイまで行って‥‥。
みうらさん: 不思議な団体だったと思いますよ。それにしても、去年の武道館での「ザ・スライドショー7」の会場で、次はハワイでって勢いで約束しちゃったもんだから行ってきたんですけど、よく考えたら僕は泳げないんですよ(笑)。
聞き手: 自由時間は、何してたんですか?
みうらさん: ホテルの部屋でエロビデオ、観てました。
聞き手: 日本と変わらない(笑)。さっきご自身でおっしゃったように、みうらさんは日本を観光するのが大好きな日本人なんでしょうね。
みうらさん: だから、次のスライドショーは日本でやりますよ。たぶん東京になるんじゃないかな。もしよかったら、観に来てくださいよ。
聞き手: ぜひ、そうさせていただきます!
今日は、ハワイからお帰りになったばかりでお疲れのところ、どうもありがとうございました!
みうらさん: いいえ、こちらこそ。
   
 


原稿をまとめながら、通販で購入した「ザ・スライドショー コンプリートボックス」のDVDを観ました。何年もかけて集められたヘンなものたちは、みうらさんに発表され、いとうせいこうさんに突っ込まれる事で、初めて救われたのかもしれないなあと感じながら。みうらじゅんさは、ある意味で救世主? ‥‥とにかくおもしろくて、原稿を打つ手がほとんど止まってしまった事だけは確かです。

<次回 更新日は11月19日予定です>
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