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くるまあるき賛成派 第21回
町田忍さん:前編
捨てられていくもの、
無くなっていくものを、残す。

  町田忍(まちだしのぶ)
1950年 東京都目黒区生まれ。庶民文化研究家。
和光大学人文学部芸術学科卒業後、ヒッピーや警察官(!)、レザークラフト作家など様々な職種を経て、現在はフォトエッセイやコラム執筆、テレビ出演など多方面で活躍。少年時代より一貫して興味の対象を収集し続け、そのストックは膨大な数に及ぶ。
「銭湯の謎」「懐かしの昭和30年代」「ザ・チョコレート大博覧会」「ザ・ジュース大図鑑」(以上扶桑社)「納豆大全(角川文庫)」など著書も多数。

以前からぼんやりと、くるまあるきスタッフの頭の中に「銭湯」というキーワードがありました。クルマと銭湯、どちらも街を舞台にしているはずなのに、どこか相容れないもの同士のように思えてしまう。だからこそ逆に、何かヒントがありそうな気がしたのです。そこで、銭湯といえばこの方、庶民文化にお詳しい町田忍さんにお話をうかがいました。


聞き手: よろしくお願いします。それにしても町田さんの仕事部屋、いろいろなコレクションがあって思わずキョロキョロしてしまいますね。
町田さん: 仕事部屋というか、ここは子供時代から続いてる空間なんですよ。モノゴコロついたときには何かを集め始めていて、そのままずーっと今日までですからね。
聞き手: ああ、だから居心地がいいのかもしれませんね。入った瞬間に、はるか昔の友達の部屋みたいな感じがしました(笑)。壁に、いろいろ懐かしい物が‥‥。
町田さん: 集めた物のほとんどは、ここじゃなくて倉庫に保管してあります。ここも本来はもっとぐちゃぐちゃで、いつもはダンボール箱に囲まれてますよ。取材のために、これでも少し掃除をしたんです(笑)。
聞き手: そういうのは、まったく気にならないです(笑)。ところで、今日は銭湯めぐりのお話をおうかがいするわけですが‥‥。
町田さん: これ、缶ジュースのコレクションの写真です。実物を写真に撮って、それを切り抜いてこうやってファイルしておくんですよ。
聞き手: すごい! セブンアップだけで、こんなに。
   
 
   
町田さん: お菓子でもジュースでも、新製品が出たときはとりあえず買っておきます。商品として短命のものもありますが、とにかく全部買う。この「たけのこの里」や「きのこの山」はご存知のように今でも発売されているロングセラーだけど、こっちの同じようなタイプのお菓子はいつの間にかなくなってます。
聞き手: これは記憶にないですね。マイナーなお菓子‥‥。あ、これはファンタですね。同じものでも、少しずつデザインが変わっているんですね。
町田さん: ファンタには、幻の「ゴールデングレープ」という種類があったんですよ。インターネットのその手のページでもよく話題になるんですけどね。
聞き手: ゴールデングレープ、覚えてますよ。けっこう好きだったんですが、なぜかラインナップからすぐ消えちゃいましたね。
町田さん: ちゃんと理由があるんですよ。それまでのファンタグレープに使われていた紫色の色素に対してクレームがついたのが、ゴールデングレープ誕生のそもそものきっかけなんです。合成着色料が体に良くないということで、紫色じゃなくて、ぶどうの皮そのままの色のジュースをゴールデングレープとして短期間発売していたんですね。その後、ファンタグレープに戻ったときには、ちゃんと天然色素の紫を使うようになったんです。
聞き手: なるほど、ゴールデングレープはとりあえずの処置だったんですか。紫のほうがグレープらしいということなんでしょうね。
町田さん: マーブルチョコレートも同じような経緯があって‥‥これ、パッケージの実物なんですが。
聞き手: すごいっ! これ、ぜんぶマーブルチョコですか!?
町田さん: これも初期のものは合成着色料で、途中から天然色素に変わってます。パッケージに表示があるので、わかりますね。
   
 
   
聞き手: あ、ほんとですね。う〜ん、おもしろい。他にも、甘栗、納豆、ホーローの看板、正露丸・・・・。
町田さん: 甘栗の歴史を調べる人って、いそうでいないんですよ。それなら自分が第一人者になってやろうと考えたんです。納豆についても、「納豆大全」という本まで出してましてね。5月には、薬の本を出します。
聞き手: 頭痛にケロリンですね? 今回、銭湯にお詳しい町田さんということでおじゃましたんですが、ちょっとそれどころじゃなくなってきました(笑)。
町田さん: 銭湯は僕が集めているテーマのうちの、ごくごく一部なんです。あ、そうそう、この写真見てください。
聞き手: 霊柩車ですか!
町田さん: 僕は日本で二人しかいない霊柩車研究家でもあるんですよ。この写真、日産プレジデントがベースの霊柩車なんですが、8年くらい前までは日産の霊柩車はなかったんです。日産の上層部の方のお葬式ではアメ車を使ってたらしいんですけど、最近、霊柩車の製造会社と共同開発で日産プレジデントの黄金の霊柩車ができたんです。
聞き手: 知らなかった(笑)。すごい情報です。こちらの、この赤い霊柩車は?
町田さん: 富山で撮ってきたんですが、この朱色は極楽浄土の最上級の色なんですよ。神社仏閣に使われてる、あの色ですね。だから、少しも変ではないはずなんですけど、東京を真っ赤な霊柩車が走ってたら違和感あるでしょうね(笑)。
聞き手: 不謹慎だってことになりそうです(笑)。霊柩車の車内からの写真もありますね。
町田さん: 取材が終わって、霊柩車で駅まで送ってもらったときのものですね。2台連なって駅に横付け(笑)。
聞き手: 駅にいる人、ちょっとびっくりしたでしょうね。で、いよいよ銭湯なんですが(笑)、町田さんは、これまでどのくらいの軒数をまわってらっしゃるんですか?
町田さん: 全国で2300軒ほどまわってます。銭湯の研究は今年で24年目になるんですが、僕のコレクションの中では特に長いほうではないですね。それでも、最初に注目されたのがなぜか銭湯めぐりで、それでマスコミに取材されるうちに、それ以外のコレクションも陽の目をみるようになったわけです。芋づる式に(笑)。
聞き手: それでは、その2300軒の中から、町田さんおすすめ銭湯をいくつか教えていただけますか。
町田さん: あ、いいですよ。それぞれ特徴があるので、おもしろいですよ。写真も、こちらで撮ったものをお貸ししましょう。
   

テルメ末広
[インターネットもできる銭湯]
住所: 東京都北区志茂5-16-14
電話: 03-3901-6316
営業時間: 14:00-24:00
日・祭日 12:00-24:00
休業日: 金曜日
駐車場: 3台分あり。満車の場合はフロントまで。


京都町屋風造りのユニークな銭湯。2階には休憩室があり、1階のロビーではブロードバンド接続されたパソコンが無料で使用できる。露天風呂、乾式サウナなども楽しめる。月に3回、スタッフが摘んできた季節の薬草や樹木の葉を湯船に入れる「季節の薬湯」も大好評。



nu land(ヌーランド)
[エンターテインメント銭湯]
住所: 東京都大田区仲六郷2-7-5
電話: 03-3739-1126
営業時間: 10:00-23:00
休業日: 火曜日
駐車場: あり


公共浴場でありながら、フラメンコやアフリカンダンスショーが楽しめることで有名。天然の黒湯温泉、遠赤外線サウナ、露天風呂など、多彩なお風呂の他、リフレクソロジー(英国式足裏健康法)も大人気。大画面ビデオシアター、ゲームコーナーも。




宮城湯
[デイシフトバス方式の天然温泉]
住所: 東京都品川区西品川2-18-4
電話: 03-3491-4856
営業時間: 平日6:00-10:00/13:00-翌2:00
土・日・祝6:00-翌2:00
休業日: 第3火曜日
駐車場: あり


1階と2階、男女2日ごとの入れ替えを行うデイシフトバスという珍しいスタイル。肌にやさしい弱アルカリ泉。屋上の露天風呂からは新幹線が見え、広間にはカラオケ用のステージがある。食事のメニューも豊富。朝湯あり。


以上、ご紹介した銭湯の入浴料は一律400円となります。ただし、サウナなどの付帯施設の中には別料金が必要なものもあります。


町田さん: 前編では、近代的な工夫を取り入れている銭湯をご紹介しました。
聞き手: おもしろいですねえ。早速、出かけてみたくなります。この3軒は、いわゆるスーパー銭湯ではないんですね?
町田さん: ちがいますね。すべて公共料金の400円で入浴できる、通常の銭湯です。銭湯組合に加入しているかどうかということですね。物価統制令といって、銭湯の入浴料は料金を条例で決める日本で唯一の例です。スーパー銭湯はそうじゃないですから。
聞き手: そもそも銭湯のお話をうかがおうと思ったのは、町田さんが監修された「廿世紀銭湯写真集 SENTO」という写真集がきっかけなんです。すばらしい本ですね。
町田さん: あ、買ってくれたんですか。ありがとうございます。おかげさまで、いい感じで売れましてね、海外のメディアから取材を申し込まれたりしてるんですよ。
聞き手: それはそうでしょうね。独特の文化が美しく表現されてますから。
町田さん: そう言っていただけると、うれしいです。ところで、このオレンジジュースの缶。メーカーにさえない古いものなんですけどね。銭湯めぐりと関係があるんですよ。
聞き手: これ、見た感じ、灰皿として使われてたような‥‥。
町田さん: そうなんです(笑)。廃業する古い銭湯の、ボイラーの隙間に落ちていたんですよ、これ。ボイラーマンのおじさんが、この缶を灰皿として使ってたんですね。それをもらってきたわけです。日本で最初の缶ジュースということで、どこで知ったのかテレビ番組のスタッフから問い合わせがきました。
聞き手: この缶、かすかに記憶に残ってますよ。小さな缶切りみたいなやつがついていて‥‥。
町田さん: そう、穴を二つ開けて飲む。そのタイプのいちばん古い缶が、これなんです。
   
 
   
聞き手: 町田さんのコレクションの対象って、どこで線引きされているんでしょうか。コレクションするべきかどうか、どこかで抑制が必要かと思うんですが(笑)、どういう基準があるんですか?
町田さん: 基本的には、人が集めてないもの、捨てられていくもの、無くなっていくもの。それに、集めるために金がかからないことも大事ですね。銭湯に出かける「こと」も、まさにそうでしょう? 東京の銭湯、かなり減ってきてますからね。ところで、これ、なんだかわかります?
聞き手: あ、もしかしたら駅前で配ってるティッシュに入っている印刷物ですか?
町田さん: そうです。この束にしてあるのはすべて、あるひとつの会社のものなんですけど、一枚一枚ちがう営業所のものです。だから微妙にデザインがちがっていたり、地図が差し替えられているんですね。それに、こういうものもあります。
聞き手: 自衛隊の勧誘チラシ!
町田さん: だからどうってわけじゃないんですけどね(笑)。タダだし、他に集めてる人あまりいないでしょ? 僕にとっては、集め甲斐があるもののひとつです。
聞き手: これはもう、町田さんの大博覧会をやるべきですよ。
町田さん: やりたいですねえ。インターネットを見るとわかるんですけど、それぞれ種類ごとに僕なんかより数を集めてる人は時々いるんですよ。だけど、年季がちがうと思いますね。その世界では80年代辺りで古いといわれてますけど、僕の原点はもっと古い。年齢的なものもありますけど(笑)。古いものを求めて遡って集めるのではなくて、基本的に発売当時のものを発売日に買うのが僕のコレクションのやり方なんです。
聞き手: それはたしかに、ちがいますね。今から町田さんのマネしようと思ったら、今からのものを集めるしかない。町田さんの集めたものは、日本人にとってものすごい財産ですよね。
町田さん: あ、そうそう、クルマ関係のページということで、こういうのはどうですか? グリコのおまけ、1960年のものです。でも、これはトヨタ2000GTかな?
聞き手: あ、これ、たぶん日産フェアレディZですよ。すごいですね、ボンネットが開いてエンジンが‥‥。
町田さん: そうかそうか、日産のクルマでよかった(笑)。その時代は、リアリズムだったんですね。そんなに小さいのにけっこう忠実ですよね。今はどちらかというとデフォルメでしょ?
聞き手: そうですね、チョロQとかですね。あ、あそこに貼ってあるのは、納豆の‥‥(目に入るものすべてが興味深くてお話は途切れなく続いていますが、ひとまず前編を打ち切ります。銭湯めぐりのお話は、後編で必ず!)
   
 


町田さんの仕事場は、まるで時代の博物館。それも、トップレベルのガイドさん付きです。次から次へ、まるで手品のように懐かしい現物や写真が現れるので、インタビューアという立場を忘れてしまいそうになります。それでも、実際は、まだまだ氷山の一角のそのまた一角なのでしょう。このあと、この読む博物館の順路はどのようになっていくのでしょうか? 後半をお楽しみに!

<次回 更新日は4月1日予定です>
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