東京 1999年10月20日



共同組織の迅速な立上げに引続き、
日産・ルノー両社、世界規模の緊密な協力体制を展開




日産自動車(本社 東京、会長・社長兼CEO塙義一)と、ルノー(本社 ブーローニュ、会長兼CEOルイ・シュヴァイツァー)は、1999年10月20日、東京において提携を結んで以降の数カ月間の成果について記者会見を実施した。

日産・ルノー両社は、提携に基づく第三者割当増資取引を当初の予定通り本年5月28日に完了後、提携によるシナジー効果の実現に向けていくつもの重要なステップを迅速にクリアしてきた。両社で構成するクロス・カンパニー・チーム(CCT)による試算では、2000年から2002年の期間だけでも合計33億USドル(200億フランスフラン/3,900億円/30億ユーロ)のコスト削減が可能であることが確認されている。さらに長期的には、両社のシナジー効果は2005年以降、年間合計30億USドルとなる見込みである。

日産及びルノーの事務及び技術両分野の管理職層はすでに緊密なチームワークのもとに実作業に入っており、互いに成功を目指す強い意気込みと、オープンマインドな姿勢、そして相互の尊重と信頼を確立している。こうした高度な協力関係こそが、日産・ルノー提携の成功の鍵を握る重要な資産である。両社が蓄積してきたビジネスの経験と技術的スキルの相互補完性は、 緊密な協力を促進する強固な基礎となっている。そして両社間のバランスのとれた関係と、それぞれのブランドのアイデンティティーを強力に発展させることこそ、日産・ルノー両社の間に築かれつつある協力関係の最も重要な意味といえる。


日産・ルノー間のシナジーの実現

現在、12のCCTがシナジー効果の本格的な評価、具体的プロジェクトの提案およびその実現に向けた詳細な作業に取り組んでいる。短、中、長期における協力可能な分野はすでに特定されており、販売、商品、製造拠点及び技術にわたる分野でお互いに上手くフィットすることが確認されている。次に挙げるのは、これまでにもっとも進展がみられた分野の例である。

購買の分野では、日産・ルノー両社は最初に欧州、ついでその他の地域へと積極的に共同購買政策を導入する予定である。両社は2002年までに購買分野で合計約17億USドルのコスト削減を目指しており、すべての購買品目がコスト削減の対象となる。すなわち、車両部品とパワートレイン部品(全体の60%以上を占める)、原材料、機械工具及び設備、サービス及び物流、及びスペアパーツである。この共同購買政策は詳細なベンチマーキングに基づいており、いくつかのサブアッセンブリーの共用化にもつながるものである。つまり、より良い商品とより強力な購買力という二つの強みを両社にもたらすことが期待される。

商品計画の分野では、両社それぞれの商品アイデンティティーとブランド・アイデンティティーを維持することに留意しつつ、プラットフォームやパワートレイン他の構成部品の共通化により最大の利益が得られるよう、商品ラインアップ合理化のための一貫性ある統合戦略を追求している。
* 短期的には相互OEM供給が検討されている。これは欧州及びその他の地域におけるLCV、ピックアップトラック、4x4、エントリーレベルの乗用車の各セグメントで実施される見込みである。これらは2002年以降の販売促進に貢献すると思われる。

車両技術の分野では、いわゆるBプラットフォームを最初の共通プラットフォームとして開発することを決定しており、現在順調に作業が進んでいる。この共通Bプラットフォームは日産の主導のもとに両社のエンジニアで構成するチームによって開発され、完成後は日産が最初に使用することになる。それぞれのブランド特有のアイデンティティーと商品の特色を尊重しながら、この共通プラットフォームは日産の次期型マーチ(欧州名マイクラ) 、キューブ、ルノーの次期型トゥインゴ、クリオに適用される。最初にこの共通プラットフォームをベースに生産される車両は、2002年に導入される予定である。両ブランドが共通プラットフォームをベースに独自の商品ラインアップを発展させる方針はBプラットフォーム以外にも適用され、日産・ルノー両社は2010年までに共通プラットフォーム数を10に統合する方向である。これらの共通プラットフォームをベースに両社が独自のモデルを開発していくことで、それぞれのブランドが大きなスケールメリットを享受できることになる。すなわち、現在、1プラットフォーム当りの生産台数はルノーが平均28万台、日産が10万台であるが、これを平均50万台まで引き上げることが可能となる。Bセグメントのような大量生産車種の場合、共通プラットフォームをベースとした車両の年間生産台数は両社合計で100万台を上回ると予測される。なお、プラットフォーム以外の多くのコンポーネントも、ブランドの差別化に影響しない範囲でかなりの数量が共有化される。

* 日産・ルノー両社はすでに研究開発先進技術の分野、特に車両の軽量化、ハイブリッド車、電動化制御技術の分野で、共同研究を開始している。

パワートレインの分野では、日産・ルノー両社のエンジン及びトランスミッションのラインナップを合理化、共用化することで高い価格競争力の実現を目指している。エンジンを基準とした場合、2010年における目標平均生産台数は、1パワートレイン当り50万台以上である。この数値は、主力パワートレインの場合には100万台に達する可能性がある(現在ルノーでは平均32万台、日産では14万台)。パワートレインの各チームは共用戦略に基づき、行動計画の作成を開始し、すでに下記の重要な項目について取り組んでいる:
・ 新しい小型ディーゼルエンジンの共同開発
・ ルノー車への日産V6エンジンの搭載
・ ルノー車への日産製四輪駆動ユニット並びにジヤトコ・トランステクノロジー(JTT)社製CVTの搭載、日産車へのルノー製小型車用マニュアルトランスミッションの搭載
・ 他の共同開発計画も現在検討中

欧州では、日産・ルノー両社は共同で新しい流通システムの構築を目指している。この新しい流通システムは、強大な少数のディラーが、与えられたテリトリー内で日産とルノーそれぞれのローカルディーラー網を運営するというものである。この戦略により、個別のブランド・アイデンティティーを維持しながら、ディーラーの売り上げ増と流通コストの削減が可能になる。日産・ルノー両社は、欧州で2002年半ばまでの販売網の再編と強化を目指している。

更に両社は、欧州各国及び全域で、流通システムの構造的なコスト削減につながるサービス部品や車両輸送といった、いわゆるバックオフィス機能におけるシナジー効果をも視野に入れて検討を開始している。日産・ルノー両社は、販売増の可能性を最大にする販売力とマーケティング組織を手にすることになるだろう。

* 9月下旬、グローバル・アライアンス・コミッティ(GAC)はメキシコにおける協力プロジェクトを承認した。ルノーのメキシコ市場への再参入と日産のメキシコ工場でのルノー車生産という内容である。さらに、ルノーは日産のサポートを得て自社の販売ネットワークを構築する。このプロジェクトは日産にとっては生産拠点の稼働率向上をもたらし、ルノーにとっても急激に成長する市場に最もコスト効率の高い方法での再参入を可能にする。販売面では、日産はメキシコ市場で販売金融会社を持たない唯一の自動車会社であり、メキシコでの販売金融会社の設立に向けてルノー・クレジット・インターナショナルと検討を進めている。日産・ルノー両社は、これらのプロジェクトの最終決定を1999年12月に開催されるメキシコ・モーターショーで発表できればと考えている。

南米(メルコスール)では、日産・ルノー両社は購買、生産、販売の各分野を含むプロジェクトを策定中である。

南アフリカについては、日産・ルノー両社は、日産の子会社オートメーカーズを活用した同国における将来の実現可能な協力関係を決定した。

アジア太平洋地域では、間もなくオーストラリアにおいて共同事業がスタートする予定である。2000年末にも日産の販売網を通じてルノーの車両を販売する。その他、たとえばマレーシア、フィリピン、台湾、タイなどでは、ルノーは日産のサポートを得ながら、日産ブランドを扱っている現地資本と生産・販売を含む協力事業を展開して行くことになるだろう。

日本市場については、ルノーとヤナセ/フランスモータースグループとの契約が2000年5月1日にも終了する。関係者と検討中であるが、ルノーの意向としては、認証、出荷前準備、在庫、輸送面等で日産のバックオフィスを活用してルノー車を輸入・販売したい。2社の非独占的な販売網による販売、すなわち、ヤナセ/フランスモータースグループ及び日産の販売網の一部で販売することを通して、ルノーとしては中期的に販売台数を10倍に引き上げ、年間で3万台、あるいはそれ以上の販売目標を考えている。

以上のように各CCTを通じてGACが導き出してきた成果は、グローバルレベルでの利益拡大を目指した包括的かつ戦略的なビジョンに基づいている。成果の背景には、6月末以降、意思決定、調整、実行の為の体制が迅速に立ち上げられ、上手く機能してきたことがある。


アライアンスの意思決定と調整機関

GACは、6月9日の非公式な会合のあと、7月28日に東京、9月22日にパリにおいて開催され、現在毎月召集されている。GACとはアライアンス全体を統括する機関であり、アライアンス戦略を策定し、CCTが提案する協力事業やシナジーについて決定をおこなう。GACの議長はルノー会長兼CEOのルイ・シュヴァイツァーと日産の会長・社長兼CEOの塙義一が務める。

合意により規程された11のCCTはすべて6月末までに活動を開始した。7月には製造を担当する12番目のCCTが設置され、この分野における主要なシナジーに関する実行計画を策定することになった。すべてのCCTは協力しながら同じ目標に向かって業務を遂行していく。商品企画・戦略CCTについては、日産とルノーの共同リーダーシップのもとで業務を遂行しているが、他のCCTでは、一方の会社がリーダーを務め、副リーダーはもう一方の会社が務める。さらに、それぞれのCCTには一社から一名づつパイロットが選出されている。パイロットは日々の業務を遂行するとともに、6人から15人のメンバーで構成されるチームの調整業務を担当する。現在、CCTには日産・ルノー両社から合計約150名のスタッフが参加している。

それぞれの会社では、およそ二週間に一度、CCTのリーダー、副リーダーが参加するステアリング・コミッティによってCCT間の調整がなされている。ルノーでは副社長のジョルジュ・ドゥアン、日産では副社長のパトリック・ペラタが長をつとめるステアリング・コミッティーは、アライアンス・コーディネーション・ビュローのリーダーシップのもとでGACの準備を行なう。アライアンス・コーディネーション・ビュローは情報の集中管理、協力を進める上での条件の設定、さらにCCT業務の調整を行なう。同ビュローの中には、鈴木裕が長を務めるパリ・オフィスと、石井彰が長を務める東京オフィスがある。ファンクショナル・タスク・チーム(FTT)はCCTに対して情報システム、技術スタンダード、品質、会計及び法務の分野で日常的な補佐を行う。

最後に、アライアンス憲章が両社の関係メンバーのために制定された。これは日産・ルノーの新しいグループに共通の価値を浸透させるためのもので、共通の価値とは、共有すべき将来の目標、相互信頼、互いの相違点の尊重、二社間のバランス、そして機密保持と業務遂行上のルールなどである。


資本参加と株式の取得

1999年5月28日、一株当り400円の第三者割当増資により、ルノーは日産に対し5,907億円(299億フランスフラン/46億ユーロ/48.6億USドル)*1の資本参加を行い、さらに日産ディーゼルに93億円(4億7,100万フランスフラン/7,180万ユーロ/7.66億USドル)の資本参加を行った。

ルノーは日産の株式36.8%を取得し、日産ディーゼルの株式22.5%の株式を取得した*2。さらにルノーは日産の欧州の金融子会社5社を2億8,600万ユーロ(18億7,000万フランスフラン/378億円/3.05億USドル)で買収した*3。これでルノーは合計322億フラン(6,378億円/49億ユーロ/52億USドル)を投資したことになる。日産・ルノーのアライアンスによって日産は復活するという市場の確信を反映して、日産株はポジティブな動きを示し、9月30日時点で同社の株価は、ルノーの日産への資本参加時点と比較して61.2%上昇した。

ルノーの資本参加は日産の負債を大幅に軽減することに貢献した。ルノー側では、1998年末で負債よりも大きな手元資金をもっていたことと、1999年上半期のキャッシュフローが潤沢だったことから、日産への投資のインパクトをバランスシート上では最小限に抑え、1999年6月30日時点で負債額を102億フランスフラン(1,710億円/16億ユーロ/16億USドル)、即ち、資本金に対する負債額の比率を18.6%にとどめ、健全な財務状況を維持することができた。
1999年6月10日のルノーの定時株主総会では、本提携の合意が報告され、6月25日には日産の定時株主総会でもこれが報告された。合意書には、日産が将来ルノーに対して資本参加を行なう権利を有していることが規程されている。
*1:フランスフラン対USドル換算レート FRF6.15=$1
*2:ルノーの日産ディーゼルへの22.5%(日産の同社への出資比率と同率)の資本参加は、二段階にわたって実施された。取引のクロージング時点で15.2%、さらに第三者割当増資にて7月6日に7.3%である。
*3:ドイツ、イギリス、イタリア、スペイン、オランダ。


マネジメント機構と人材の交流

1999年6月25日の日産の定時株主総会において、カルロス・ゴーンが日産の取締役に就任することが承認された。ゴーンはその直後に日産の最高執行責任者として執務を開始した。パトリック・ペラタは商品企画、デザインおよび戦略担当の取締役副社長に、ティエリー・ムロンゲは次席財務責任者に指名され、取締役会メンバーとして日産の経営に参加することになった。
ルノーの定時株主総会では、日産自動車会長・社長兼CEOの塙義一が1999年6月10日付でルノーの取締役に就任することが承認された。塙はそれ以降、ルノーの取締役会に出席している。さらに澤田勉がシニア・バイス・プレジデント、会長付顧問に指名され、1999年9月1日付でルノー・マネジメント・コミッティー(CDR)のメンバーとなることが承認された。また、鈴木裕がアライアンス・コーディネーション・ビュロー担当のシニア・バイス・プレジデントに指名された。
ルノーより17名が日産に管理職層として派遣され、さらに1名が1999年中に着任する予定である。彼らは次の各部門に配属された:COOオフィス、海外人事、経理、財務、企画、商品計画、購買、製造と技術、マーケティング及び南米オペレーションである。日産からは7名がルノーへ派遣され、さらに14名が1999年末までにこれに続く予定である。すでに着任した者が配属された部門は、アライアンス・コーディネーション・ビュロー、品質、プロジェクト管理、マーケティング及び人事である。


以 上





グローバル・アライアンス・コミッティとクロス・カンパニー・チームの構成

 グローバル・アライアンス・コミッティ(GAC)はルノーの会長兼CEO(最高経営責任者)ルイ・シュヴァイツァーと、日産自動車の社長兼CEOの塙義一が共同で議長を務める。以下、ジョルジュ・ドゥアン(EVP、製品、戦略企画及び国際事業担当)、フランソワ・アンフレイ(EVP、セールスおよびマーケティング担当)、シェマヤ・レヴィ(EVP)、ミシェル・ド・ヴィルヴル(ルノーグループ経営総務室長兼人事部長)とピエールアラン・ドゥスメット(EVP)がルノーを代表する。カルロス・ゴーン(代表取締役最高執行責任者)、安樂 兼光(代表取締役副社長兼最CFO)、松村 矩雄(取締役副社長、海外部門統括)、大久保 宣夫(取締役副社長、技術・開発部門統括)、そしてパトリック・ペラタ(取締役副社長、企画部門統括)が日産を代表する。

 クロス・カンパニー・チーム(CCT)はルノー、あるいは日産のリーダーが代表をつとめ、ジョイントリーダーシップのとられている商品企画・戦略CCTを除いてリーダーとは違う会社のサブリーダーがつく。それぞれのCCTにはCCTのリーダーと同じ会社からパイロットが任命され、一方の会社からも対のパイロットが任命される。両者は日常のCCT業務に責任を持ち、6人から15人のメンバーで構成されるCCTチームのリーダーシップを任される。

 商品企画・戦略CCTは、ルノーの製品企画担当VPレミー・ドゥコナンクと日産の商品企画本部担当常務 今井 英二のジョイントリーダーシップのもと管理される。

 車両開発CCTは、ルノーの先行車両開発担当SVPジャック・ラカンブルがリーダーを務め、サブリーダーは日産の上席常務 仲村 巌が務める。

 パワートレインCCTは、日産の上席常務 川崎 肇がリーダーを務め、ルノーのパワートレイン担当SVPジェラルド・デトゥルベがサブリーダーを務める。

 購買・物流・サービスCCTは、ルノーの購買担当SVPジャン・バチスト・ドゥザンがリーダーを務め、日産の取締役副社長 小枝 至がサブリーダーを務める。

 製造CCTは、日産の生産部門担当 取締役副社長 小島 久義がリーダーを務め、ルノー・マニュファクチュアリング担当SVPのミッシェル・ゴルネがサブリーダーを務める。

 ヨーロッパCCTは、欧州地域マーケット担当SVPのフィリップ・メリエがリーダーを務め、欧州日産社長のイアン・ギブソンがサブリーダーを務める。

 メキシコ/中米CCTは、メキシコ日産自動車会社社長の吉岡 博がリーダーを務め、サブリーダーはルノーの中米とカリブ地域担当ダイレクター パトリス・ラティが務める。

 南米CCTは、ルノーのメルコスール担当SVPリュック・アレクサンドル・メナーがリーダーを務め、日産の米州事業本部部長 青木 俊雄がサブリーダーを務める。

 日本CCTは、日産の常務 阿部 哲明がリーダーを務め、ルノーのアジア太平洋担当ダイレクター ジェラルド・サンマルタンがサブリーダーを務める。

 アジア/オセアニアCTTは、日産の上席常務 岩下 世志がリーダーを務め、ルノーのアジア太平洋担当ダイレクター ジェラルド・サンマルタンと中国担当副社長ジャック・ダニエルがサブリーダーを務める。

 中東/他のアフリカCCTは、日産の中近東アフリカ事業部部長 増田 豊彦がリーダーを務め、ルノーの国際事業担当ダイレクターのミルティーユ・ドゥミエールがサブリーダーを務める。

 CIS/トルコ/ルーマニア/北アフリカは、ルノーの国際担当事業部長SVP マニュエル・ゴメズがリーダーを務め、日産の上席常務 小泉 年永がサブリーダーを務める。